【コラム】社外取締役を務めるCEOが減少しているトレンドには、良い面も悪い面もある

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編集部注:本稿の著者であるBJ Jenkins(BJ・ジェンキンズ)氏は、クラウド対応のセキュリティおよびデータ保護ソリューションのプロバイダであるBarracudaのCEO。また、SumoLogicGenerac Power Systemsの取締役会のメンバー。

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米国の企業では従来、双方向的な関係が盛んに行われていた。CEOは経験を広げ、影響力を拡大するために、あるいは単に良い気分がしたという理由から、他の企業の取締役会に加わっていた。取締役会がCEOを求めたのは、CEOがもたらす知識と、自社のCEOと対等に交流できる独特の能力を備えているからだ。

しかし、社外取締役の数は減り続けている。CEOの役割がより困難かつ要求の厳しいものになるにつれて、最高経営責任者の多くが社外取締役の役割を敬遠するようになり、また現在では多くの取締役会がCEOの取締役のアサインを制限している。

経営コンサルティング会社Korn Ferryのレポートによると、パンデミックによりこのトレンドが加速したという。同レポートでは「パンデミックによる前例のない要求により、多くのCEOが社外取締役を辞任し、自らの組織に専念するようになったことを示すエビデンス」を挙げている。現在、社外取締役に就任しているCEOは半数に満たないという。

同時に、多くの企業が取締役会にジェンダーや人種の多様性を取り入れることへのプレッシャーを感じており、これまでよりも幅広い候補者層にメンバーシップを提供している。

CEOの取締役会への参加が減少したことは、ポジティブなことなのか、それともネガティブなことなのか。興味深いことに、その両方である。

ここでCEOが取締役会で仕事をするメリットを4つ紹介しよう。

他の企業に助言することは、より良いCEOを生み出すことにつながる。自分自身の肥大化を恐れて取締役会の役員職から遠ざかるCEOや、同様の理由でCEOの取締役のアサインを制限している取締役会は、重要なポイントを見落としている。取締役会に時間を割くことで、より良いリーダーが育つのだ。

筆者は2社で社外取締役を務めている。他社の課題と機会、その盛衰、どの戦略が効果を発揮し、どの戦略が機能しなかったのかを内部で観察することで、自身の会社での適用につながる洞察が得られている。テーブルの反対側にいることが、自社の取締役会とのコミュニケーション方法についての理解を深めることにつながっている。

取締役会での役割を務めることで、近視眼的な視点に陥るのを防ぐことができる。デジタル破壊により、企業は競争力を維持するために前例のないペースで進まなければならない。最高経営者の第一の仕事は、会社の中で毎日この現実に取り組むことだ。しかし、自分の会社の経験だけを頼りにすれば、リーダーとして外の世界に向けた広い視野を持てなくなる。取締役会での職務は、それを確実に得るための秀逸な手段となるものだ。

取締役会のメンバーになることで、CEOは共感力を高めることができる。昨今、経営幹部レベルの役職の共感力を強化する必要性について多くの議論がなされているが、それには正当な理由がある。世界的な健康危機、人種的不正義、その他の重大なストレス因子には、McKinseyがいうところの「危機を管理し、組織を危機後のネクストノーマルに導く」4つの資質、すなわち意識性、繊細さ、共感力、思いやりを上級幹部が備えることが求められている。

このような時代にあって、CEOが可能な限り広範なレファレンスの枠組みを醸成することは極めて重要であり、取締役会を通じた他社との関与がそれを達成するのである。

他の企業を支援することは、より広がりのある利益を創出する。CEOが自分の会社の責任を超えて、他の会社の取締役会に価値をもたらす手段を有しているなら、それは世界全体にとってポジティブなものとなる。つまり、上げ潮はすべての船を持ち上げるのだ。

例えば、筆者が取締役を務めている会社は、かつては家庭用予備発電機の製造に専念していた。今ではデジタルにも対応しており、ユーザーのスマートフォン上でさまざまなサービスを提供する、Wi-Fi内蔵の発電装置をてがけている。筆者の専門分野である強力なサイバーセキュリティ戦略も求められるということだ。自分のガイダンスが会社、株主、顧客に恩恵をもたらすと確信し、充足感を覚えている。

それでは、CEOの取締役の数が減少したことがもたらす利点は何であろうか。その答えは簡単だ。CEO以外の人々や、女性や有色人種を含む伝統的に過小評価されてきたグループにとって、取締役会に加わる機会が増えることだ。

「あまり認知されていないが注目に値するシフトにおいて、多くの企業がコーナースイートをスキップし、別の場所で取締役を探している」とKorn Ferryは報告している。「最近のデータが示すところでは、2020年に就任した400人余りの取締役のうち、3分の2近くがCEO以外の人物によって占められている。専門家によると、企業は2020年に起きたパンデミックおよび人種平等の抗議活動を受けて、より多様な面を持ち、より具体的なスキルセットを備えた取締役会を作り上げる決意を固めている」。

Equilarが最近発表したジェンダー・ダイバーシティ・インデックスによると、2021年第1四半期末のRussell 3000企業における全取締役席に占める女性の割合は24.3%で、2016年末の15%から増加した。「上場企業の取締役会における男女の平等な構成への道筋は、何十年にもわたり行き詰まりを見せていたが、近年は顕著な改善を示している」とレポートには記されている。(とはいえEquilarは、2032年まで取締役会がジェンダー平等を達成することはできないだろうと警鐘を鳴らしている。)

CEO以外の取締役の多くはすばらしい仕事を遂行している。スタンフォード大学のRock Center for Corporate Governanceが行った調査によると、取締役の79%が、実際面において、現職のCEOたちがCEOではない取締役たちより優れているとは感じていない。CEOは取締役会に威信をもたらすかもしれないが、多くの非CEOが取締役としての実質的な仕事に貢献していると同調査は伝えている。

取締役会の多様性の増大は、それ自体が優れた進展というだけではない。取締役会の経験を持つことで、将来のリーダーとしての役割を担うメンバーをうまく配置し、より多くの女性や有色人種をコーナーオフィスに迎え入れるための代理人としての役目を果たすことができる。

Fortune 500企業のCEOの90%近くを占める典型的な白人男性CEO以外にも、幅広い層の候補者が取締役会のメンバーになることは、ビジネスリーダーの多様性が高まり続けることを期待させる。

総合的に考えて、このポテンシャルは、社外取締役を敬遠するCEOが増えることのネガティブな面を補って余りあるものだと思う。

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カテゴリー:その他
タグ:コラムCEO

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(文:BJ Jenkins、翻訳:Dragonfly)