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コンピュータービジョンを利用した誰でも使いやすいビデオエフェクトの動画エディターVOCHIが全世界的に人気

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オンラインのクリエイターたちが使用する、コンピュータービジョンの技術を利用したビデオ編集アプリを作っているベラルーシのVOCHIが、2020年のウクライナのGenesis Investmentsがリードする150万ドル(約1億7000万円)のラウンドに続き、このほど「後期シード」と称するラウンドでさらに240万ドル(約2億6000万円)を獲得した。新たな資金は、このモバイルツールのこれまでの大きな成長を踏まえており、今では毎月50万あまりのユーザーが使用し、1年で400万ドル(約4億4000万円)ほどを稼いでいる。

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この最新のラウンドの投資家は、TA VenturesとAngelsdeck、A.Partners、Startup Wise Guys、Kolos VC、そしてベラルーシのVervやエストニアのユニコーンBoltなどの企業からのエンジェルたちだ。資金調達と並行してVOCHIは、同社の最初の社員でマーケティングのトップだったAnna Buglakova(アンナ・ブグラコワ)氏を、プロダクト担当最高責任者(CPO)である共同創業者に昇進させた。

VOCHIの共同創業者でCEOのIlya Lesun(イリヤ・レスン)氏によると、同社の発想はプロフェッショナルなビデオ編集技術を一般人が容易に使えるようにして、彼らの作るユニークでトレンディなコンテンツのおかげで、作者がソーシャルメディア上で目立つ人気者になることだった。そのためにVOCHIは、コンピュータービジョンの技術を利用した独自のビデオセグメンテーションアルゴリズムにより、映像中で動いている特定のオブジェクトや、写真などの静止画像中の特定部分に、さまざまなエフェクトをかける。

レスン氏の説明によると「そんな結果を得るために2つの訓練済みの畳み込みニューラルネットワークが、半教師ありのVideo Object SegmentationとInstance Segmentationを実行します。弊社のチームはさらに、ビデオエフェクトのためのカスタムのレンダリングエンジンを開発し、それは相手が4Kでもモバイルでも瞬時の適用ができる。しかも画質の劣化はありません」。編集作業としてのエフェクトの適用は、わずか数秒でできる速さだ。

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最初のシード資金はマーケティングと製品開発に投じられており、今や同社にはユニークなエフェクトが80以上、フィルターは30以上ある。

画像クレジット:画像クレジット:VOCHI

今ではこのアプリは、ビデオに特殊な美観を与えるツールをいろいろ提供している。例えば夢の中のような雰囲気や、美術絵画の中、昔の8ビット画像などだ。また、動くオブジェクトはその輪郭を光らせたり、ぼかしや運動を加えたり、さまざまなフィルターを適用したり、またビデオ中に3Dオブジェクトを挿入し、ギラギラ感やチカチカ感を加えるなど、いろいろなことができる。

また、コンテンツを直接編集するだけでなく、アプリ内でホームフィードを縦にスワイプすると、自分のコンテンツに他人が行った編集を見て、編集のヒントにすることができる。そして、好きだなと思うものを見たら、ボタンをタップするだけで同じエフェクトを自作に適用できる。完成したらそれをInstagramやSnapchat、TikTokなど、他のプラットフォームで共有できる。

VOCHIはベラルーシの企業だが、ユーザーの大半は米国の若者だ。レスン氏によると、他にロシアやサウジアラビア、ブラジル、そしてヨーロッパ各地のユーザーも多い。

ライバルのビデオエディターと違ってVOCHIは、エフェクトやフィルターのほぼ60%を無料で使える。無料にともなう制限は、何もない。他のビデオ編集ツールやコンテンツと併用してもよい。エフェクトの設定や、ユニークなプレゼン、さまざまな特殊エフェクトなどの高度な機能はサブスクリプションの申し込みが必要だ。ただしそのサブスクリプションは、週7ドル99セント(約880円)または12週39ドル99セント(約4300円)と安くはない。それは、ときどきビデオの制作を楽しみたいというカジュアルなユーザーよりも、プロのコンテンツクリエイターをユーザーとして想定しているからだ。アプリを150ドル(約1万6560円)で買い切りというプランもある。

同社によると、これまで、VOCHIの月間アクティブユーザー50万のうち約2万が有料ユーザーで、しかもそれは毎月20%ずつ増えているという。

画像クレジット:VOCHI

しかしVOCHIが公表した数字は、同社がこれまで達成したことに比べればあまり重要ではない。

同社のビジネスが成長していたその同じ時期に、独裁政権が反対勢力を弾圧し、国中に逮捕と暴力が氾濫した。2020年は米国に本社のあるエンタープライズ系スタートアップPandaDocの複数の社員が、ミンスクでベラルーシの警察に逮捕された。それは、ルカシェンコ大統領に対する抗議への報復だった。4月には、ミンスクにおける同国のスタートアップとイベントとコワーキングスペースのハブであるImaguruが、同じくルカシェンコ政権によって閉鎖された。この古い建物でこれまで、Facebookが買収したMSQRDを初め、多くのスタートアップが誕生した。

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その間、VOCHIは世界126カ国のApp StoreでApp of the Dayとしてフィーチャーされ、月間収益はほぼ30万ドル(約3300万円)にまで成長した。

VOCHIのインキュベーターだったBulba VenturesのゼネラルパートナーAndrei Avsievich(アンドレイ・アヴシエビッチAndorei avus)氏は、次のように述べている。「パーソナルビデオは私たちの生活の中でますます重要な地位を占めるようになり、多くの人にとって、自己表現の手段になっています。VOCHIは、このインスピレーションと学習の小道を辿ることを助け、ビデオによる創造性のためのツールを提供しています。ユーザーや投資家がVOCHIを愛していることは、とてもうれしいことです。それは収益と応募超過の投資ラウンドの両方に表れています」。

今回の新たな投資はVOCHIをシリーズAに導き、彼らの仕事が今後ますます多くのクリエイターを惹きつけ、ユーザーエンゲージメントを向上し、アプリにもっと多くのツールを加えていくことに貢献するだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:VOCHI資金調達動画編集ベラルーシコンピュータービジョン

画像クレジット:VOCHI

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)