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地方航空路線に最適な9人乗り電動航空機「P3」をPykaが披露

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2019年に突如現れたPyka(パイカ)は、無人農薬散布機という一風変わった電動航空機を発表した。その最初の航空機の成功を受け、同社は次にP3の開発に着手した。P3は9人乗りの航空機で地域間のフライトを安くシンプルにすることを目的とし、まったく独自のプロペラ機構を採用した。早ければ2022年にも飛ぶ可能性がある。

Zipcar(ジップカー)やFord(フォード)、Maven(メイブン)などで活躍したDan Grossman(ダン・グロスマン)氏が新社長に就任した。同氏がもつ運輸セクターのDNAは、Pykaが地方航空路線の立ち上げに必要なネットワークや提携関係を構築するのに役立つだろう。

P3は、155ノット(時速約280キロメートル)で200海里(約370キロメートル)までの飛行を想定している。つまり長時間ドライブではなく、1時間程度の短時間飛行だ。現在、地方路線には大型で高価な航空機が使用されているが、座席の半分しか埋まっていないことも多く、経済的には少々厳しいものがある。だが、Pykaの試算によると、小型で運用コストの低い航空機を使えば、地方のハブ空港間で、満席のフライトを1日にもっと多く実現することができるという。

「150マイル(約160キロメートル)の距離をクルマで移動することが難しい場所が対象となります」と創業者でCEOのMichael Norcia(マイケル・ノルシア)氏は語る。「人々がこのような地方路線を維持するのに費やす金額は数十億ドル(数千億円)という驚異的な額であり、人々はそれに満足していません」。

既存の小型機は非常に高価だが、P3は1日のフライト数と目的地の数を増やし、バルク運賃に匹敵する価格を実現できるとノルシア氏は考えている。

機体自体は極めてオーソドックスだが、よく見ると、翼の前後にプロペラが付いている。

画像クレジット:Pyka

「これまでになかったものです」とノルシア氏はいう。その理由を簡単に説明する。

このような小型機では、離陸時と上昇時にはプロペラのピッチ(角度)を変え、巡航時にはさらに別のピッチでプロペラを動かす必要がある。そのためにはプロペラの羽根を傾ける必要があるが、これが簡単ではない。

「通常の航空機のあらゆる局面で最適な動作をするためには、プロペラにそうした非常に複雑な機構を搭載することが理にかなっています」とノルシア氏は話す。「電気の推進力により航空機を大幅に簡素化することができます。前方のプロペラは離陸と上昇のために、後方のプロペラは巡航のために使われます」。

重く、複雑で高価な従来のエンジンで、離陸時に可変ピッチのプロペラを使わないとすれば、プロペラの数を倍に増やす必要があるが、それは馬鹿げている。しかし、軽く、シンプルで安価な電動エンジンでは、見た目は変わっていても、それが意味をなす。

前後のプロペラが同時に動くのは離陸時と上昇時のみで、離陸後は前側のプロペラを折り畳み、巡航時には後側のプロペラがフルに作動する。重いヒンジ(丁番)や油圧装置を使わず、機械的にもシンプルだ。実際、プロペラを収めることで、効率が10%ほど向上するとノルシア氏はいう。「かなりクールだ」と同氏は付け加えた。そして彼らは特許を申請している。

だがP3の全体的な大きさと形状はよく見るものであり、それは偶然ではない。

画像クレジット:Pyka

「私たちは白紙の状態からスタートしました」ノーシア氏は話す。型破りなプロペラがそれを物語る。「しかし、この航空機へのアプローチは、顧客や規制当局と話し、彼らが何を求めているかを知ることでした。答えは、9人乗りの飛行機でした」。

規制が求める要件がその理由の1つだ。一定の重量や乗客数をもつ飛行機は、簡易で寛容な規制の下にあり、それは9席以下で飛行する航空会社にも当てはまる。従い、最もシンプルな道筋は、乗り物を再発明することではなく、効率性と価格の面で大きく前進が可能な9人乗りの飛行機のようだ。

さらに、P3を夢のある構想から実際に飛ぶ機械へと移行するために、P3を無人の貨物輸送機、つまり中型の貨物用ドローンから始めた。限られた市場しかないが(無人の小型航空機は通常の陸上貨物ルートを飛行できない)、P3を合法的に飛行させ、より重要な旅客機の認証を目指す前に、規制当局とともに物事を前に進めるためだった。

画像クレジット:Pyka

2022年末までにP3を飛行させることが目標だが、新しい航空機としては非常に果敢な時間軸だ。だがPykaはすでに2機の航空機を出荷している。農薬散布機のプロトタイプであるEgretと量産機のPelicanだ。

「私たちがこの会社を設立したのは、電動航空機が移動手段を根本的に変え、より良いものにすると考えたからです」とノルシア氏はいう。「電動航空機にとっては前例のない時代ですが、ほとんどの会社は、たとえその機体が、今後10年のうちに認証を受ける可能性があるという状況でも予約を受け付けています。私たちはこの3カ月で2機のPelicanを出荷しました」。

グロスマン氏は、そのことが同氏が入社し、会社の規模拡大に貢献するという選択をした大きな要因になったと話す。「Pykaは今まさに出荷を進めており、来年は月に1機のペースで出荷する予定です。信じられないほど効率的にお金を稼いでいます」。

もちろん、新しい航空機を売るには費用がかかる。ノルシア氏は、生産規模の拡大とフルサイズのP3を飛ばすため、大規模な資金調達の最中だという。すべてがうまくいけば、旅客機は早ければ2025年には空を飛ぶことができるだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電動航空機Pyka

画像クレジット:Pyka

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi