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リコーと九州大学共同開発によるフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルが9月提供開始、「充電のない世界」目指す

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リコーは8月18日、IoT機器を常時可動させるための自律型電源となるフレキシブル環境発電デバイスのサンプルを9月から提供すると発表した。これはリコーと九州大学が2013年から共同研究してきた発電材料を使ったもの。屋内の低照度でも高効率な発電ができる。フィルム形状なので、さまざまなIoTデバイスに搭載が可能。IoTデバイスメーカー、サービス事業者、商社向けにサンプルを提供し、早期の商品ラインアップ化を目指すとのこと。

リコーが「充電のない世界」の実現に向けフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

リコーは、九州大学 稲盛フロンティア研究センター 安田研究室との共同研究によって、「光電変換層(P型有機半導体)の分子構造や材料組成などを精密に制御」することで、比較的暗い場所でも高い電圧と電流が得られる有機光電変換系を開発。有機デバイス設計では、中間層(バッファ層)材料の最適化や界面制御による高効率化と高耐久化を実現した。これには、安田研究室の高性能有機半導体の設計と合成の技術、リコーの有機感光体の材料技術が活かされている。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

リコーが開発した有機薄膜太陽電池(OPV)の構成と機能

フレキシブル環境発電デバイスには、次の特徴がある。

  • 発電効率の向上と高耐久化の実現
  • 広い照度域における高い変換効率
  • 高照度環境下における高い耐久性
  • 部分陰による影響が少ない遮光特性

約200lx(ルクス。一般家庭の居間の照明程度)の低照度から、約1万lx(曇りの日の屋外程度)の中照度でも高い光電変換効率を維持でき、約10万lxという太陽光に近い明るさでも高出力を維持できる。また、セルに部分的に影がかかっても、急激な出力の低下は起こらない。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始
リコーでは、「移動型・携帯型のウェアラブル端末やビーコンなどのデバイス、およびトンネル内や橋梁の裏側に設置される社会インフラのモニタリング用デバイスなどの自立型電源として適用が可能」としている。これにより、小型電子機器の電池交換や充電の必要がなくなり、九州大学の安田琢麿教授は、SDGsの目標7である「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に貢献できると話している。

リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始リコーと九州大学が共同開発したフィルム形状の有機薄膜太陽電池のサンプルを9月から提供開始

主な仕様・41x47mmサイズで使用環境(照度)が200lxと10000lxの場合の出力

  • 最大出力(Pmax)min(取り出せる電力の最大値)
    200xl:84µW
    10000lx:4200µW
  • 最大出力動作電圧(Vpmax)typ(電力が最大となる電圧値)
    200xl:3.3V
    10000lx:3.6V
  • 最大出力動作電流(Ipmax)typ(電力が最大となる電流値)
    200lx:25µA
    10000lx: 1200µA

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カテゴリー:EnviroTech
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