ウェブデザイン変更後のツイッターはアクセシビリティが不十分と専門家は指摘

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米国時間8月12日、Twitterはウェブサイトとアプリのデザインを大幅に変更した。この変更は1月の新しいフォントの導入に続くもので、同社は今回の更新を「プラットフォームのアクセシビリティを向上させる」ためのものとしているが、アクセシビリティの専門家によると、これらの変更は的外れだという。

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最もわかりやすい変更点は、ツイートがTwitter独自の書体である「Chirp」で表示されるようになったことと、背景と文字のコントラストがより強調されたことだ。不要な仕切り線がなくなり、インターフェースもすっきりとした。弱視のユーザーにとって、コントラストの高いデザインではウェブサイトがより見やすくなるが、現在のコントラストレベルは高すぎて、負担になるユーザーもいる。プラットフォームのコントラストレベルは、障害者が利用しやすいウェブサイトの推奨事項を定めたウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン(Web Content Accessibility Guidelines、WCAG)の最低基準をはるかに超えている。しかし、ウェブアクセシビリティは一律ではない。高コントラストのディスプレイを必要とするユーザーもいる一方で、慢性的な偏頭痛に悩むユーザーにはもっとマイルドな表示が必要かもしれない。失読症の人は、コントラストの低いテキストの方が速く読めるという研究結果もある。

デザインリサーチャーであり、The Disabled Listの創設メンバーでもあるAlex Haagaard(アレックス・ハーガード)氏は次のように話す。「アップデート後のTwitterで、すぐに目が痛くなり、30分後には緊張性の頭痛に襲われました」「慢性的な苦痛がいくつもあるので、苦痛を悪化させるようなものを使うことはできません。痛みがますますひどくなるからです」。

2020年まで、Twitterのアクセシビリティチームはボランティアベースで、同社の社員が既存の仕事に加えてアクセシビリティのプロジェクトを担当していた(TechCrunchの記事を参照のこと)。アクセシビリティを考慮しない音声ツイート機能のリリースから数カ月後の9月、Twitterは社内に2つのアクセシビリティ専門チームを導入した。しかし、専門家は、新機能を検討する際には、最初から障害者をデザインの決定に関与させることが必要だと強調する。

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「Twitterは、この状況を変えるために、アクセシビリティや障害者の視点を設計プロセスにもっと取り入れると言っていましたが、今回の結果を見ると十分な仕事をしていないようです」とハーガード氏。「研究や構想の段階で障害者コミュニティのメンバーをコンサルタントとして関与させ、全体を把握できるようにすれば、テストの際にもはや手遅れであるような根本的な問題が生じるのを防ぐことができます」。

TwitterはTechCrunchの取材に対し「プロセスの最初から全体を通じて、障害のある人のフィードバックを取り入れてきました。人によって好みやニーズが異なるため、今後もフィードバックを集めてプラットフォームがより使いやすいものになるように改善していきます。集まったフィードバックを参考に、私たちは取り組みを続けます」と述べる。

Twitterのアクセシビリティチームは、アップデート後にユーザーから報告された眼精疲労や偏頭痛などの問題を認識している。現地時間8月13日午後、同社は、ユーザーからのフィードバックを受けて、すべてのボタンのコントラストを変更し、「目に優しい」デザインに変更したとツイートした。

Adobeのインクルーシブデザイン担当であるMatt May(マット・メイ)氏は次のように話す。「デザインの作成者の発表と同時にアクセシビリティ団体がそれについて発言するのは良いことです。両者が協力していることを意味するからです。重要なのは、常に目を凝らし、枠組みから外れてしまっているグループを見つけ、システムの別の部分で彼らを取り込むことです」。

メイ氏は、このような派手な(目に優しくない)アップデートは必ず反発を招くと指摘するが、その一方で「Twitterは通常は目立たない重要なアクセシビリティの向上を行っている」と話す。例えばTwitterは最近、ユーザーが動画にSRTファイルをアップロードして字幕を追加できるようにした。また、Twitter Spacesはライブキャプションをサポートしたが、Clubhouseのような競合他社はまだこの基本的なアクセシビリティ機能を備えていない。

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これまでユーザーが利用しやすいようにカスタマイズ機能を提供してきたTwitterが、なぜ(今回のコントラストの高いディスプレイや新しいデフォルト書体の導入に)カスタマイズ機能を追加しなかったのかは疑問だ。現在、ユーザーはデフォルトのライトモード、ダークモード、ブラックモードを切り替えたり、デフォルトのフォントサイズを変えたり、ボタンやハイパーリンクの色をパープル、オレンジ、ピンクなどに変更したりすることができる。現地時間8月12日のアップデート以前にも、ユーザーはTwitterのアクセシビリティパネルでより高いコントラストのモードを有効にすることができた。しかし、コントラストを下げたり、フォントを変更したりすることはできず、専門家はこれをデザイン上の欠陥であると指摘する。初の独自書体「Chirp」では、「感情を伝えやすくする」ことを目指していたが、ユーザーは「Chirp」以前に使用されていた「Helvetica」よりも読みにくいと報告している。

マサチューセッツ工科大学の研究者であり、WCAG基準の編集者、World Wide Web Consortium(ワールドワイド・ウェブコンソーシアム)のアクセシビリティ教育およびアウトリーチリーダーでもあるShawn Lawton Henry(ショーン・ロートン・ヘンリー)氏は「ウェブサイトは、ユーザーがフォントやコントラストレベルなどを切り替えられるカスタマイズオプションを備える必要がある」という。現在のWCAGの推奨事項にはこの件は含まれていないが、同氏は「今後のガイドラインの更新では、このようなオプションの設定が推奨されるようになる」と話す。

「主な問題は、デフォルトのコントラストがWCAG基準を満たし、ユーザーがそれを変更できるようにすることです。難しいことではありませんよね?」「デフォルトのフォントがあったとしても、それをカスタマイズできるようにする必要があります。(デフォルトのフォントが)一般的に最も読みやすいフォントであったとしても、個人差があります。変更できるようにすることが重要です」とヘンリー氏。

Twitterの広報担当者は、書体やコントラストレベルを変更するオプションに関する質問に対し「今すぐ共有できる具体的な計画はありませんが、私たちは常に使いやすさを向上させる方法を検討し、フィードバックに耳を傾けています」と回答する。

ハーガード氏は「Twitterがこの件をアクセシビリティの問題として捉えていることは残念ですが、これがブランドアイデンティティの確立につながることは明らかです」と話す。

CSS(スタイルシート)を使ってウェブサイトの設定を変更するユーザーもいるが、ヘンリー氏がWorld Wide Web Consortiumのために行った調査では、ウェブブラウザや電子書籍リーダーでは、ユーザーが設定をもっと簡単にカスタマイズできる機能を提供すべきと報告されている。CSSを書けるほどテクノロジーに精通しているユーザーは限られるし、アプリごとのアクセシビリティ設定を切り替える方が簡単なのだ。前例もある。Discordは6月、アクセシビリティの設定に彩度のスライダーを追加した。

「ウェブのメリットは、紙ではないこと、そしてそれを変えることができる、ということです」(ヘンリ画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)