Swing Therapeutics(企業)
マニトバ大学(組織)

線維筋痛症のデジタル治療プログラムがFDAの画期的医療機器指定を取得

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デジタル治療のスタートアップSwing Therapeuticsは、スマートフォンを利用した12週間の線維筋痛症管理プログラムで、FDA(米食品医薬品局)からBreakthrough Device Designation(画期的医療機器 / デバイス指定)を受けた。これは同社にとって初の画期的指定であり、2021年予定されている多数の臨床試験に先立つものとなる。

Swing Therapeuticsは2019年に設立され、JAZZ Venture Partnersが主導するシードラウンドで合計900万ドル(約9億8600万円)を調達している。同社は慢性疼痛、特に線維筋痛症の管理に注力している。

このFDAの画期的指定は、同社がUniversity of Manitoba(マニトバ大学)で最初に設計・試験を行ったアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)プログラムをスマートフォンに適用したことに与えらたものだ。Swing Therapeuticsはこのプログラムを独占的にライセンスし、独自の電話ベースバージョンを形成するのにそれを適応させた。

「私たちは基本的に、マニトバ大学のプログラムをプログラムの基礎として使用し、その上に実際的な構築を施しました。そしてそれを現代のスマートフォンのインターフェイスに最適なエクスペリエンスに適応させました」とSwing Therapeuticsの創業者でCEOのMike Rosenbluth(マイク・ローゼンブルース)氏は語る。

このFDAの指定により、Swing Therapeuticsはプロダクトの一連の臨床試験を実施する際に、FDAによる迅速な審査が可能になる。

現在のところ、線維筋痛症の治療法は確立されていないが、FDAは症状の管理に役立つ3種類の薬を承認している。Lyricaは、通常は神経損傷の治療に処方されるが、線維筋痛症の治療にも使用される。Cymbaltaは、元々はうつ病、不安症や糖尿病性神経障害の治療薬として開発された。Savellaは、うつ病の治療法に近いSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)である。

薬剤の世界の外では、ACTが慢性疼痛(線維筋痛症を含む)のある患者に有用であるというエビデンスがいくつか得られている。

例えば、ACTおよび慢性疼痛に関する25件の研究を対象としたメタレビューでは、ACT療法は疼痛強度にわずかな影響しか及ぼさないことが明らかにされた。しかし、痛みを受け入れるように(無視するのではなく)患者に教える治療プロセスは、抑うつ、不安、生活の質における中程度から長期の改善と関連していた。

「ACTが行っているのは、症状やコントロールできないことを患者が受け入れるのを支援することです。ACTは、自分にとって本当に重要な価値観について考えるのを助けてくれます」とローゼンブルース氏。「そして、患者はその価値観に合わせて行動ベースの変更を試みるのです」。

その一環として、Swing Therapeuticsのプラットフォームは、治療管理ツールとして医師によって処方されるように設計されている。処方されると、患者は41セッションの受け入れとコミットメントのセラピープログラムに入る。このプログラムは完全に携帯電話上で実行されるもので「毎日の服用」に分割されている。「毎日の服用」には、マインドフルネスセッションや短い文章を書くことを促すプロンプトが含まれることもある。

Swingのスマートフォンプログラムのベースとなっているマニトバ大学のプログラムには、その名の通りに行われる無作為化比較試験がある。これは当初、通常通りの治療を受けたか、通常の治療に加えて8週間のオンラインコースでACTを受けた参加者67人を対象とした研究で検証された。

コースの完了は、抑うつ症状の改善および睡眠、疼痛知覚、疲労または心理的苦痛に対する線維筋痛症の影響を測定する線維筋痛症影響質問票(FIQ-R)の患者スコアの改善と関連付けられた。このコースは患者の「痛みの受容」を改善し、そのメカニズムを通して線維筋痛症のエクスペリエンスを改善するのに役立つように見受けられた。

重要なのは、Swing Therapeuticsプログラムがマニトバ大学のプログラムとは少し異なる点だ。つまり、コンピューター上では8週間であるのに対し、スマートフォン上では12週間以上、ほぼ毎日の使用を想定して設計されている。このようなわずかな変化であっても、このアプローチが線維筋痛症患者にこの特異的なACT療法プログラムの恩恵をもたらすことを保証するために、独自の臨床試験が必要となる。

Swing Therapeuticsは、これらの臨床試験のいくつかを異なるステージで実施している。

この春、Swingは、線維筋痛症の適応治療に関する67人のパイロット試験の登録を完了した(患者は実薬対照群またはACTデジタル療法群に割り付けられた)。この研究は進行中である。Swingは先に、REACT-FMと呼ばれる大規模な研究も開始した。本研究は現在募集中で、ACTプロダクトを2週間使用する100人から150人程度の患者を登録することを目指している。

そして同社はまた、第Ⅲ相無作為化比較試験の開発フェーズにある。この研究の完了後、同社はFDAにプラットフォームの完全な承認を申請する。ローゼンブルース氏によると、この研究は2021年末にローンチされる予定だという。

FDAの画期的治療法指定は、すでにこれらの研究の形成に役立っている。臨床試験が続けば、このデバイスは迅速な審査を受け続けることになり、プラットフォームの臨床試験をスムーズに進めることができる。

「FDAとのチャネル対話が可能になったことは、非常に有益であることを実感しました。そうすることで、臨床試験のデザインと私たちのアプローチがFDAが期待するものと一致するように、協調していくことができます」とローゼンブルース氏は語った。

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画像クレジット:Swing Therapeutics

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)