LinkedInが新ラーニングハブ、ハイブリッドワーキングのための検索フィールドなどを導入し変化する時代を先取り

次の記事

クラウドベースの動画コンテンツ制作技術とその収益化に向けて印Amagi約110億円調達

新型コロナウイルスのパンデミックを受け、雇用の世界に大きな変化が訪れた。仕事を探したり、ポジションを埋めてくれる人を見つけたり、あるいは単にプロとして成長したりすることは、今や私たちの多くにとって以前と同じものではない。そうした分野に対応するビジネスモデルを構築してきた企業も変化しているのは当然のことだ。米国時間9月9日、Microsoft(マイクロソフト)の社会人向けソーシャルネットワーキングプラットフォームであるLinkedIn(リンクトイン)は、時代の変化を先取りした一連のニュースを発表した。

LinkedInは、従業員にプロフェッショナルとしての能力開発などのトレーニングを提供する組織を対象とした、新しいラーニングハブを立ち上げる。また、LinkedInのメンバー向けに40のコースを無料で提供する。足元の変化に対応するためで、ハイブリッド・ワーキングへの適応方法、新しい時代においてより良いマネージャーになる方法、オフィスへの復帰方法、従業員がオフィスビルだけでなく自宅に分散している状況でのファシリティ管理の方法などのコースがある。さらに、労働環境の現状などを考慮に入れ、ユーザーが求人情報を掲載・検索する際に使う詳細な情報に調整を加え始めた。

ラーニングハブは、2021年4月に初めてプレビューされ、限定的なベータ版として運用されてきた。9月9日、MicrosoftのCEOであるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とLinkedInのCEOであるRyan Roslansky(ライアン・ロスランスキー)氏が主催する、仕事の世界の新しいトレンドについて議論する大きなイベントの一環として、このハブがより広く展開されることになった。

LinkedInは長年にわたって教育に取り組んできた。2015年にリモートラーニングプラットフォームのLynda(リンダ)を買収し、自社の教育戦略と専門能力開発のためのプラットフォームとしての戦略と地位を強化した。提携により大量のサードパーティーコンテンツを導入し(例えば、2018年にサードパーティー経由で約1万3000のコースを追加した)、スキル開発の概念を職業上のプロフィールと結びつけ、ユーザーのためにリサーチしたり、インタラクティブなツールを構築したりするなどしてきた。

今回発表した無料コース(10月9日まで無料)は、リモート環境からオフィス環境への移行を始める(あるいは考える)企業にとって役に立つ、時宜を得た動画群だが、より大きなプロダクトである「The Learning Hub」の発表は、その長い旅路の中で、単に誰かの役に立とういう試みではない。現在のLinkedIn Learning Proユーザーは、2022年7月まで、あるいはそれ以上の期間、無料で利用することができるという。これは、ビジネスに特化したサービスを提供し、企業の人事部を強く巻き込み、収益の柱の1つである採用関連を強化するという、同社の大きな取り組みにもつながっている。

学習体験プラットフォーム(LXP)として、LinkedInは独自のラーニングハブを再構築し、360Learning、Coursera for Business、Workday、Cornerstoneなど、数多くのプラットフォームと競争することになる。さまざまな組織が、自社やサードパーティーのプロフェッショナルトレーニングコンテンツを管理するために、そうしたプラットフォームを利用している。また、LinkedInは、雇用動向に関する自社のデータに加え、AIを活用し、組織やユーザー向けにコンテンツをパーソナライズするという。だが、企業の人事チームが求人情報を掲載したり、候補者を探したりするためのプラットフォームでもあるという事実が、このサービスをより安定したものにし、いろいろなものが断片的になっている昨今、まとまりがあると感じられるかもしれない。

LinkedInが採用サービスに新領域を導入することも注目に値する。採用担当者は、仕事がリモート、ハイブリッド、オンサイトのいずれかを示すことができるようになり、近々、仕事を探している人も、新しい仕事に求める条件を示すことができるようになる。また、企業は、予防接種の必要性などに関して、自社の状況をより詳細に示すことができるようになり、物理的なオフィスが開いているかどうかを世界中(従業員、パートナー、顧客、関心のある人たち)に知らせることができるようになる。

こうした新しい領域は、小さなことのように聞こえるかもしれないし、少なくとも、私たちが今日生きていく上での関心事や状況にのみ関連しているように聞こえるかもしれない。だが筆者はそれ以上に注目すべきことだと思う。こうした領域は、LinkedInが考える(そして私たちの多くが感じている)、今日の私たちが仕事というものを捉える際に優先するものが何かを物語っている。このことは、LinkedInが、企業や個人のプロフィールにおける詳細な情報のうち何を、また、採用の際に利用できる詳細な情報というものを、考慮するのか、するとすればどのように、ということついて扉を開く。これは、LinkedInがすでに少し前から取り組んでいることで、6月にはプロフィールに代名詞を追加するオプションをユーザーに提供し始めた。こうしたことが重要なのは、もっと小さな企業が多く存在し、誰かがLinkedInを今の地位から引きずり下ろすよう求める声があるからだ。LinkedInが新しい形式に手を出したり、あるいは別の形式をやめたりするのは、同社がそうした状況に適応しようとしていることを示している。

関連記事:LinkedInがストーリーズ機能を廃止しショートビデオ機能を開発中

画像クレジット:Ali Balikci / Getty Images

原文へ

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi