オープンソースでオープンエンドなアプローチによる新時代の企業向けエンタープライズAPI管理ツールのTykが約38.4億円調達

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APIは今日、多くの企業のITシステムの歯車を回す役割を果たしている。しかし、APIの数や使用方法が増えるにつれて、APIがどのように連携しているか(あるいは連携していないか)を追跡することは複雑になり、何か問題が発生した場合には致命的な問題になる可能性がある。この問題を解決する革新的な方法を開発したスタートアップ企業が、そのアプローチを採用する大企業の支持を得て、資金調達を発表した。

Tykは、GraphQLを使用する普遍的なインタフェースにより、ITシステム内部の複数のエンタープライズAPIにアクセスして管理する方法を開発した。同社はこのほど3500万ドル(約38億4000万円)の資金を調達して、新たな雇用と、現在ユーザーに提供しているツールの強化と拡張に投じようとしている。Tykは、APIとそれらが作り出すデータを管理する方法を彼らの造語で「universal data graph(ユニバーサルデータグラフ)」と呼び、今ではそのツールを、Starbucks(スターバックス)やSociete Generale(ソシエテジェネラル)、Domino’s(ドミノピザ)などおよそ1万社がAPIの管理に利用している。

今回の資金調達ラウンドはScottish Equity Partners(SEP)がリードし、MMC Venturesが参加した。後者は、Tykが最初の5年間、自己資金で2019年に最初の資金調達をしたときの投資家だった。Tykはロンドンの企業だが、実体はかなり分散しており、たとえば共同創業者の1人は現在、ニュージーランドに住んでいる。今後の雇用と成長も、分散型で行くつもりだ。資金調達額はこれまでの合計で4000万ドル(約43億9000万円)ほどだ。

Tykは「タイク」と発音し、「ちびっこ」とか「がき」という意味がある。最初は共同創業者で現CEOであるMartin Buhr(マーティン・ビュール)氏の、オープンソースのサイドプロジェクトとして始まった。当時、彼の仕事のメインは一種の「ロードテスト」(負荷試験)だった。

現在のITはサービス指向のアーキテクチャに変わっており、社内のアプリケーションに接続するためにもAPIを利用している。そこで彼が考えたのは、コードに対する考え方を変えて、それらがAPIのコントロールにも使えるようにすることだ。さらにまた、ビュール氏が見たかぎりでは、当時市場にあったAPI管理プラットフォーム(有名だったのはKongやGoogleに買収されたApigee、RedHatが買収し今やIBMの一部である3scale、今ではSalesforceの一部であるMuleSoftなど)には、彼が求める柔軟性がなかった。「だから自分で作ることにした」とビュール氏はいう。

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それはオープンソースのツールとして作られ、他社の技術者たちもそれを使い始めた。関心はさらに増して、利用に興味を持った大手企業から「なぜ有料にしないのか」という質問を受けるようになった。それは、ここでビジネスが成立する可能性があることを示す確かな兆候であり、有料にすればさらに信用を得られるということでもある。

「そこで、ゲートウェイをオープンソースにして管理の部分をライセンス方式にしました」とビュール氏はいう。それにより、James Hirst(ジェームズ・ハースト)氏を共同創業者とするスタートアップ、Tykが生まれた。数年前に、あるデジタルエージェンシーでビュール氏と一緒に仕事をしていたハースト氏は、同社のCOOになった。

Tykを作った動機は、複雑化する環境下で働く顧客に向けた独自のセールスポイントとして残った。

「Tykへの関心に火をつけたものは、これまでのAPI管理ツールに対する不満です」とビュール氏はいう。現在のアプリケーションの主流であるアーキテクチャは複数のクラウドと複数のコンテナを使う複雑なアーキテクチャであるため、もっと優れた管理を必要としている。「いまはまさにコンテナ化やKubernetesやマイクロサービスの台頭期です。それに対して私たちのマルチデータでマルチベンダーのクラウドモデルへのアプローチは、極めて柔軟性に富み、分割に対して自己回復力があり、それは他社にできなかったことです」とビュール氏は語る。

「私たちはデベロッパーの世界に入り込んで本物の価値を提供していますが、何を選ぶかは彼らが決めることです。しかし私たちは、市場の明確な変化に対応しています」とさらにハースト氏はいう。たとえばTykが挑戦する次の課題は、複数のAPI間に衝突があるときの、管理層の対応だ。

ビュール氏は「マイクロサービスを使っているチームが致命的な変更を行ったときは、それを明示的にシステムに報告したい。計画では、その問題にフラグを立てて、それに対するテストを行いたい。そのやり方はだめだ、と言ってその理由も指摘したい」という。

Tykの顧客リストはそれが公表される前から企業の関心を呼び、今後のユーザーが一気に増大することを予感させる。SEPのディレクターMartin Brennan(マーティン・ブレナン)氏は、声明で次のように述べている。「MartinとJamesはワールドクラスのチームを作り、今度の資金によってTykはそのAPI管理プラットフォームの成長を加速できるでしょう。特に重要なのは、2021年の初期にローンチしたGraphQLによるUniversal Data Graphプロダクトです。チームが彼らのグローバルな意欲を実現していくとき、そのお手伝いができることは喜ばしい」。

このラウンドで、SEPのパートナーであるKeith Davidson(キース・デイビッドソン)氏が役員ではないディレクターとしてTykの取締役会に加わる。

画像クレジット:alphaspirit/Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hiroshi Iwatani)