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スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

今回お話しするのは、後払い(BNPL)企業についてだ。これらは大きくて興味深いフィンテックの世界の、特定の一角を占めている。

Square(スクエア)やPayPal(ペイパル)などによるBNPLスペースでの大型買収のおかげで、私たちはこのスペース内での企業の価値が、実際には何であるのかを理解しつつある(そして市場の無数のBNPLスタートアップにとって、それはビッグニュースだ)。

関連記事:米PayPalが日本のペイディを3000億円で買収、アジアで「BNPL」後払い市場に参入

しかし私が休暇中に、ゴールドマン・サックスが公開BNPL企業であるGreenSky(グリーンスカイ)を買収することを決定していた(それもこれもマイケルのせいなのだが)。つまり、この取引に対する概算をすばやく行うことができるし、私たちの「BNPL評価武器庫」に最新の武器を加えることができるということだ。

私の友人であり同僚であり、かつては同窓生でもあったRyan Lawler(ライアン・ローラー)記者が、一読の価値があるゴールドマン・サックスとのインタビューを行っている。ゴールドマン・サックスによれば買収額は22億4000万ドル(約2463億円)で、投資家がGreekSkyのこれまでの株価に対する潜在的なプレミアム価値を理解したために、価値がその後劇的に高くなったのだという。

個人宅のリフォームに焦点を当てたGreenSkyのBNPLは、どのような規模だったのだろうか。同社の最新収益レポートは以下の通りだ。

取引額:第2四半期の取引額は15億ドル(約1649億円)で、2020年の第2四半期と比較して14%増加しました。当四半期に承認された与信枠は、会社の歴史の中では最も多く、これはリフォームサプライチェーンと労働市場の不足が緩和される中で、前向きな主要指標の1つです。

したがって、ランレートは60億ドル(約6597億円)で評価額が22億4000万ドルだったというわけだ。これは、GreenSkyが処理するGMV(流通取引総額)1ドル(約110円)あたり、約0.37ドル(約40.7円)の企業価値に相当する。これは私たちがこれまでに見た中で最も低い数字だ。

念のため、私たちが最近見た他のものを示しておく。なお以下の数字は完璧に基準を揃えて比較しているわけではないということは頭の片隅に留め置いていて欲しい。これらは絶対値というよりも傾向を示した数字なのだ。

  • Affirm(アファーム):GMV1ドルあたりの価値は2.94ドル
  • AfterPay(アフターペイ):GMV1ドルあたりの価値は1.84ドル(Squareの価格)
  • Paidy(ペイディ):GMV1ドルあたりの価値は1.80ドル(PayPalの価格)
  • Klarna(クラマ):GMV1ドルあたりの価値は0.57ドル

GreenSkyがこのリストの一番下にあるのは、おそらく成長率が理由だろうか。14%というGMV成長率は、たとえより高めのテイクレートを確保していたとしも、会社に成長の余地をあまり与えない。特に投資家向け広報ページの一番上の行で「GREENSKY, INC. IS A GROWTH COMPANY.(GREENSKYは成長企業です)」と謳われているなら、成長率の先頭の数字が「1」であることは好ましくない。

収益の成長ならびに収益の質の軸に沿った、SaaS企業の収益の数字がバラけているのと同じように、ここでも同様のことが起こっている可能性がある。損失率、テイクレート、GMV成長率は、BNPL企業が評価を受けるための別々のベクトルだ。

BNPLスタートアップは、成長とローンの質の面で自分たちの最も正確な比較基準を見つけて、現在の市場価値に反映させることができるだろう。データがあるのは良いことだ。

マンモスの話題は?

私はこのニュースレターの大部分をMammoth Biosciences(マンモス・バイオサイエンス)とそのジュラシックパーク世界に向かう計画について議論するつもりだったが、TechCrunchの別記事に出し抜かれてしまった。私は同社に対する投資家の1人の Thomas Tull(トーマス・タル)氏にこの内容について話をきいたが、そのメモの内容についてはもう少し温めておくことにしよう。使えるタイミングがあるかどうかはわからないが。

最後にちょっとした調達ラウンドの話題

今週はDisrupt(ディスラプト)の週だ。そしてIPOサイクルが1件発生し、通常の資金調達ラウンドのリズムに遅れが生じている(そしてさまざまな連絡の遅れ。申し訳ない)。そこでお楽しみいただける軽い話題をお届けする。Postal(ポスタル)だ。

同社はマーケティングテックの分野で仕事をしていて、同社のウェブサイトが「最大の」B2B型の「ギフト市場」だと主張するものを運用している。もっと簡単に言えば、企業がパーソナライズされた物理的な商品をその顧客に送る手助けをする会社だ。Postalはそれが非常に高いROIを持つという。

ところでやや皮肉な話だが、ここで少し告白をしておかなければならない。Postalの主要な投資家はMayfieldとOMERSであることがわかったが、この2社は、私の前の雇用主(Crunchbase)の、シリーズBとCのラウンドをそれぞれ主導した会社なのだ。だが、もし私のCrunchbaseとの関係から何らかの影響が及ぶ会社については書かないとしてしまったら、私は市場の広すぎる範囲を書くことができなくなってしまう。ともあれ必要なときにはこのことに触れ続ける。

さて、PostalはSendoso(センドソー)とやや似た分野で事業を行っているが、私の理解では、Sendosoは、顧客中心への贈り物よりも従業員への贈り物をより多く扱っている。どちらも成長し続ければ、やがて直接競争することになるだろう。Sendosoは先週初めに1億ドル(約110億円)を調達したが、もちろんPostalがそうしたからだ。

この分野の他のプレイヤーとして目立つのは、Reachdesk(リーチデスク)とAlyce(アリス、2021年初めに3000万ドル[約33億円]を調達した)である。パーソナライズされた物理的な商品を提供するための技術を構築するビジネスはかなり大規模であることがわかった (もしお好きなら、ここでNFTジョークをどうぞ)。

PitchBook(ピッチブック)は、Sendosoの新しい評価額を(ポストマネーで)6億4000万ドル(約703億7000万円)、Alyceを(ポストマネーで)1億3500万ドル(約148億4000万円)と判定している。Reachdesk(リーチデスク)とPostal.ioの現在の評価額は判明しなかった。

さて今日はこの辺で。Disruptでお会いしよう!Extra Crunchのステージに頻繁に登場する私を見かけるかもしれない。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)