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気球を使って地理空間インテリジェンスのデータを取得するNear Space Labs

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打ち上げコスト低減などの技術革新から、地理空間インテリジェンスのルネッサンスが起こり、複数のスタートアップ企業が、これまでよりも高品質で頻繁な地球の画像の撮影を目指している。

これらのスタートアップ企業の多くは、衛星を使ってデータを収集することに注力しているが、創業4年目のNear Space Labs(ニア・スペース・ラブズ)は、気象観測用の気球に取り付けられた風力発電で駆動する自動制御の小型ロボットを使って、成層圏から地理空間インテリジェンスを収集することを目指している。「Swifty(スウィフティ)」と名付けられた同社のプラットフォームは、1回のフライトで高度6万〜8万5千フィート(18.3〜25.9キロメートル)に達し、400〜1000平方キロメートルの画像を撮影することができる。

この会社は2017年に、Rema Matevosyan(レマ・マテヴォシャン)氏、Ignasi Lluch(イグナシ・ルッチ)氏、Albert Caubet(アルバート・クベ)氏によって設立された。マテヴォシャン氏は応用数学者としての教育を受け、以前はプログラマーとして働いていたが、モスクワで修士号を取得。そこで彼女は航空宇宙システムにおけるシステムエンジニアリングの研究を開始し、航空宇宙機器のテストのために気象観測用の気球を飛ばした。そして「気球を商業的に飛ばすことによって、他のどんな方法よりもはるかに優れた体験を顧客に提供できるのではないかとひらめきました」と、彼女はTechCrunchによる最近のインタビューで語っている。

創設から4年が経過したNear Space Labsは、シリーズAの資金調達を1300万ドル(約14億2500万円)で完了した。このラウンドはCrosslink Capital(クロスリンク・キャピタル)が主導し、Toyota Ventures(トヨタ・ベンチャーズ)の他、既存投資家のLeadout Capital(リードアウト・キャピタル)とWireframe Ventures(ワイヤーフレーム・ベンチャーズ)も参加した。また、Near Space LabsはCrosslinkのパートナーであるPhil Boyer(フィル・ボワイエ)氏を同社の取締役に迎えたことも発表した。

ブルックリンとスペインのバルセロナに本社を置くNear Spaceは、主に変化の激しい都市部に焦点を合わせている。気球に取り付けるロボット式装置は、ブルックリンにある同社の工房で製造され、全国の発射場に送られる。同社のCTO(最高技術責任者)とチーフエンジニアがバルセロナを拠点としているため、ハードウェアの研究開発はバルセロナで行っていると、マテヴォシャン氏は説明する。

同社は現在、8基のSwiftyを運用しており、収集したデータを販売すると同時に、APIを開発して、顧客がサブスクリプション方式でデータにアクセスできるようにもしている。マテヴォシャン氏によると、Swiftyは「いつでもどこでも」発射できるため、特定の発射場所を確保する必要はないが、同社は米連邦航空局や航空管制と連携しているという。

マテヴォシャン氏によると、人工衛星と比較したSwiftyの主な価値提案は、解像度の高さであるという。同社は成層圏から「衛星から得られるものの50倍以上の解像度」を取得することができるため「大都市圏を含め、変化の激しい関心のある地域を、継続的かつほぼリアルタイムでカバーすることができます」と、同氏はいう。それに加え、すでに軌道上にある衛星に新たなセンサーを追加することは容易ではないが、Near SpaceのSwiftyは、いわゆる「プラグ&プレイ」方式を採用しているため、技術の更新を迅速に行うことができるという。

Near Space Labsの創立者たち。左からイグナシ・ルッチ氏、レマ・マテヴォシャン氏、アルバート・クベ氏(画像クレジット:Near Space Labs

Near Spaceは、2022年までに540回を超えるフライトの予約を受けている。顧客はフライト料を支払うが、各フライトから生成されるデータは非独占的なものなので、データを何度でも販売することができる。今回調達した資金を使って、同社は今後、事業展開の地理的な範囲を拡大するとともに、新たに多くの従業員を雇用する予定だ。マテヴォシャン氏によると、同社の目標は、地理空間インテリジェンスへのアクセスを民主化することだという。それは顧客だけでなく、開発者側に向けても、という意味だ。「私たちの信念は、航空宇宙と地球画像観測の分野において、多様で、平等で、開かれた機会が得られるようにすることです」と、同氏は語っている。

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画像クレジット:Near Space Labs

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)