iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)実機で確信した2021年iPadの選び方

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9月24日に発売となるアップル・iPad mini(第6世代)とiPad(第9世代)を試用する機会を得た。

iPad miniは8.3インチとコンパクトながら、iPhone 13シリーズと同じA15 Bionicを搭載。端子もUSB-C、ロック解除はTouch IDと申し分のない進化を遂げている。

SNSでつながっている知り合いも、9月15日未明に開催されたアップルスペシャルイベントが終わるやいなや予約していた。すぐに予約して24日に届く人、これから購入をしようかと思う人、iPad miniは誰もが満足できる仕上がりになっている。コンパクトで使い勝手は申し分なく、おそらく日本でかなり人気のデバイスになるのではないか。

これまでのiPad miniは長らく後継機種が出なかったり、デザイン的に変化がなかったりと、アップルとしてもどっちつかずのポジションになっていたと思う。しかし、今回は明確にハイエンド路線に舵を切ってきた。

アップルのiPadラインナップを俯瞰すると、今回、iPad miniが進化したことで、iPad Air、iPad Proなど全体的にわかりやすくなり、消費者とすれば選びやすくなったのではないか。

観るための iPad mini

今回、発売となるiPad miniは一言でいえば「観る」ためのデバイスだ。8.3インチでYouTubeやNetflix、DAZNといった動画コンテンツを観るのに最適だ。Kindleで本、dマガジンで雑誌、紙面ビューワーアプリで新聞も読めてしまう。コロナ禍で家にいる時間が増えているが、リビングや寝室、仕事部屋、トイレの中など、どこにでも持ち込んで、コンテンツを観まくりたくなるのがiPad miniなのだ。

実機で確信した2021年iPadの選び方

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

Apple Pencil(第2世代)に対応する iPad mini (第6世代)

一方、去年10月に発売されたiPad Airは「書く」ためのデバイスだ。10.9インチというサイズ感、Apple Pencil(第2世代)に対応しており、イラストを描いたり、頭の中を整理するためにあれこれ書き起こすのに最適だ。オプションにはMagic KeyboardやSmart Keyboard Folioがあり、文章を書くのに向いている。

ただ実際のところ、日本語変換能力がちょっとイケてないことがあったりもする。しかし「頭に浮かんだ文書を素早くテキストに落とし込む」という点においてはiPadOSは結構、反応が早く追従性が良いのが気に入っている。

今年4月に発売した11インチ並びに12.9インチのiPad Proは「創る」人向けのiPadだ。チップセットにはMacBookやiMacと同じ「M1チップ」を搭載。写真や動画の編集、書き出しも難なくこなすスペックを持ち合わせている。実際、YouTubeに上げるための動画も、iPhoneで撮影し、AirDropでiPad Proに転送。iPad Proで編集して、5Gエリアなら5G、ダメなら4Gでアップするということも可能だ。

カメラマンや記者など、取材先で撮った画像や動画を編集して編集部に納品するには快適だ。まさにコンテンツを創る人向けのiPadだろう。

「観る」「書く」「創る」。いまのiPadはラインナップが多く、選びにくい感があるが、自分がiPadでどんなことをやりたいのか突き詰めると、自ずと選ぶべきiPadが見つかるような気がしている。

安く売るためのiPad(第9世代)

iPad(第9世代)を試用してみたが、やはり昔から代わり映えのしないデザインであり、正直いって、「ワクワク感」はみじんもない。しかし、「これぞ伝統のiPad」という風情があり、安心して使えるのは間違いない。

実機で確信した2021年iPadの選び方iPad(第9世代)はどちらかといえば、アップルが安く「売る」ためのiPadだ。今回もエントリーモデルとして、初めてタブレットを購入する人、さらには学校などの教育市場向けを意識した価格になっている。一般向けでは3万9800円からだが、学生や教職員向けなら3万6800円からとなる。

タブレット市場は、過去から熾烈な価格競争が続いている。中国メーカーなどが安価なタブレットを投入し、もはや儲けが出る市場ではなくなっている。

アップルとしては、ここで勝ち残るために、できるだけ安いiPadを作り、市場に提供し続けている。コストが厳しいなか、長い期間、同じ筐体で大量生産を行い、製造コストを下げようとしている。チップセットもiPhoneからの型落ちを採用することで、コスト効果を狙っている。できるだけ切り詰めることで、性能は落とさず、価格競争力を維持しているのだ。

一方で、iPad mini、iPad Air、iPad Proはハイエンド路線にすることで「儲かるタブレット」にしつつある。こういった戦略はアップルにしかできないやり方だ。

おそらくアップルとしては、このコロナ禍の影響で、iPad AirやiPad Proが好調で儲かるタブレットになった。そこで、方向性を見失いつつあったiPad miniも、iPad ProやiPad Airに習う路線に突き進むことにしたのではないか。まさに今回のiPad miniはアップルの「勝ちパターン」にうまいこと乗ろうしているような気がしてならない。

(石川温。Engadget日本版より転載)