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3Dプリント義足事業を展開し日本発のグローバルスタートアップを目指すインスタリムが2.4億円のシリーズA調達

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3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用し3Dプリント義足を海外で製造販売しているインスタリムは9月30日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額2億4000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先はインクルージョン・ジャパン、Mistletoe Japan、慶應イノベーション・イニシアティブ、三菱UFJキャピタル、ディープコア。

インスタリムは、低価格・短納期の3Dプリント義足をフィリピンで製造販売する日本発のスタートアップ。単なる試供品の提供ではなく、事業化の前提となる「カスタム量産体制」(マス・カスタマイゼーション)が構築された3Dプリンター・CAD義足事業として世界初(同社調べ)としている。このカスタム量産体制とは、ユーザー個人のニーズに応じたカスタマイズと、大量生産並みの低コストな供給を両立する生産システムを指すという。義足の提供には患者ごとの断端(切断部)の形状に合わせた製造が不可欠であるため、世界的な普及には、低コストな大量生産とパーソナライズされた受注生産を兼ね備えた提供が不可欠としている。

同社は、今回の資金調達に加えて、経済産業省による事業再構築補助金、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による課題解決型福祉用具実用化開発支援事業などの支援を得ている。

これらにより、現在のフィリピンの首都圏に限られている販売網を地方都市にも複数拠点化し全国展開する。現地製造販売体制の強化やマーケティング施策を通じたグロースの実現も図る。また、より多くの層の人々が義足を購入し就業できるよう、初期出費を抑えたサブスクリプション販売形式を新たに構築するという。

さらに、次なる展開国としてインド(予定)での事業展開を目指す。アフターコロナの情勢に対応した、測定・試着・製品提供までを完全リモートによる非対面での義足製造販売システムの開発も進めるとのこと。

従来義足は、医学知識を持った義肢装具士がユーザーごとの体に合わせ医学的に最適な形状のものを手作りしていることから、価格30~100万円と高価で、また1カ月程度の納期を要しているという。このため、障害者への社会的支援が不十分な開発途上国においては、義足を購入できない方は仕事に就くなどの社会参画が困難となっており、深刻な社会課題となっているという。

そこでインスタリムは、3DプリンティングとAI技術により約1/10の水準の価格と納期を実現し、2019年よりフィリピンで製造販売を行なっている。コロナ禍による移動制限や経済状態の悪化が続いている中でもすでに400人以上のユーザーがおり、1600人以上(2021年8月現在。同社の義足が欲しいが、現在購入できないために引き続き情報提供を希望するという切断患者を掲載したウェイティングリストの患者数)が同社の義足提供を待っている状態という。

同社は、「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界をつくる」というビジョンの実現に向けて、日本発のグローバルスタートアップ、SDGsスタートアップとして社会課題の解決を目指すとしている。