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【コラム】山火事が日常になりつつある今、植生管理にもっとITを活用すべきだ

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山火事はギリシャ、トルコからオーストラリアそしてカリフォルニアと、世界中で日常の出来事になりつつある。

火災の原因は、タバコの吸い殻、キャンプファイヤーの消し忘れから落雷までさまざまあり、カリフォルニア州で特に多いのが送電線の破損によるものだ。

Dixie Fire(ディキシー・ファイア)は現地時間7月13日、Pacific Gas and Electric Company(PG&E、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック)の送電線に木が倒れたことで発火し、カリフォルニア州史上最大の単一火災となった。

PG&Eは、2015年、2017年の山火事、および2018年にバラダイスの町全体を破壊した山火事、通称Camp Fire(キャンプファイヤー)を巡る数々の訴訟によって増え続ける負債に直面し、チャプター・イレブン(連邦破産法第11章)を申請し、数百億ドル(数兆円)にのぼる追加の火災補償を免れようとした。

PG&Eは、山火事のすべての主要被害者グループと255億ドル(約2兆8327億円)の示談、および取締役の入れ替えを約束して倒産を免れた。

現在、PG&Eの植生管理プロトコルは、年間を通じた従来手法による樹木伐採を行っている。土地・住宅の所有者が検査の予告を受けた後、検査員が枝切りあるいは撤去が必要な樹木に手作業で印をつける。印をつけられた木々が適切な処置を受けるまでには4~6週間かかる。

破産にともなう組織再編計画の一環として、California Public Utilities Commission(カリフォルニア州公共事業委員会)はPG&Eの統治と運営を強化するための対策を複数制定した。その1つが、山火事のリスクを減らすためのEnhanced Vegetation Management(EVM / 拡張植生管理)プログラムだ。

これは、PG&Eが植生管理計画を継続するだけではなく、枯れたり枯れそうな樹木、張り出した枝、あるいは高く伸びすぎた樹木による潜在リスクの責任を負うことを意味している。同社の主要目標は、2021年末までに2400マイル(約3860km)分のEVMのうち1800マイル(約2900km)を完了することだ。

委員会は山火事リスクの高い上位20%の地域に焦点を絞り、Circuit Protection Zones(サーキット・プロテクション・ゾーン)を設定した。この上位20%をリスクが1~3%、4~10%、および11~20%の区域に分け、トップの1~3%が1800 EVMマイルの中心に位置づけられる。この1~3%だけで推定2422マイル(約3900km)を占めている。

ディキシー・ファイアーの出火元をSan Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)紙やGoogleマップ、PG&E提供の地図などの情報源を元に比較してみると、ディキシー・ファイアーの近くにはCPZのリスク11~20%の地域しかなかったことがわかる。2021年PG&Eがディキシー・ファイアー地域でEVMプログラムを実施する可能性は非常に低い。

カリフォルニア州の干ばつは以前にも増して厳しく長期に渡っている。どれが最大のリスク要因であるかに賭けている余裕はない。この場合、情報へのアクセスと一連の作業のスピードが規模と一致している必要がある。

我々が所属するSpacept(スペースプト)では、ディキシー・ファイアーの原因となった植生危険要因を突き止めるために当社のツールを使用できるかどうかを検討している。植生の異常増殖を発見できれば将来の山火事防止に役立つとともに公共事業の信頼性を高めることができる。

これを確かめるために、我々はSPOT(スポット)衛星の6月15日のデータを元に、San Francisco Chronicleが特定した地域を可能性の高い出火元として集中的に調べた。この山火事はDixie Road(ディキシー・ロード)のFeather River Canyon(フェザー川渓谷)付近から始まったことが報告されている。

画像クレジット:Spacept

次に当社のTree Detector(ツリー・ディテクター)を衛星写真に適用し、PG&Eが送電線周辺で伐採した道筋に木や植生の侵入がないかを調べた。

画像クレジット:Spacept

Tree Detectorはその送電線経路における一定レベルの異常増殖を検出した。その一部を拡大し、送電線の経路と植生を示すマスクを設定することで、危険増殖地帯の画像を生成した。

画像クレジット:Spacept

画像の青で示された部分は送電線経路の伐採された区域を表し、赤は高い木と植生の密度を、オレンジ色は中程度の植生密度を表わしている。

高さ40フィート(12メートル)以下の樹木境界線は送電線から15フィート(4.5メートル)以内にあってはならないというPG&Eの推奨を踏まえると、この地域にはその規則が守られていない高懸念地帯がいくつかあることがわかる。将来、PG&Eや他の電力会社は、このような異常増殖を事前に察知し、該当する地域に植生管理リソースを割り当てるためにSpaceptのような衛星に基づくソリューションを使うことができるだろう。

カリフォルニア州のように特に山火事の頻度が高く破壊的な場所では、山火事の数が少しでも減ることが、重要エコシステムとインフラストラクチャーの破壊防止につながる。そして関連する企業を数十億ドルの訴訟から救う。

点検を実施するためのスケーラビリティーと運用の障壁を越えるためには、経営における洞察力の改善が必要だ。衛星分析は実行可能な先見的取り組みであり、植生管理のための結果を取得するまでの時間を短縮する。

編集部注:本稿の執筆者Elijah Priwer(エリジャー・プライワー)氏はカリフォルニア大学バークレー校の機械工学科学生で、航空工学、人工知能、および宇宙物理学に興味を持っている。

Rita Rosiek(リタ・ロジーク)氏はニューヨーク拠点のコピーライター / マーケターで、業務範囲はスタートアップや新興技術にわたる。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Elijah Priwer、Rita Rosiek、翻訳:Nob Takahashi / facebook