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70年以上も労働生産性が変わらない建設業界のDXを進めるAgoraがTiger Global主導ラウンドで36億円調達

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CEO兼共同設立者マリア・リューミン氏(画像クレジット:Agora)

請負業者向けの資材管理プラットフォーム構築を手がけるスタートアップAgoraが、Tiger Global Managementが主導するシリーズBラウンドで3300万ドル(約36億円)を調達した。

今回の資金調達には、8VC、Tishman Speyer、Yahooの共同創業者Jerry YangJerry Yang(ジェリー・ヤン)氏、Michael Ovitz(マイケル・オーヴィッツ)氏、DST、LeFrak、Kevin Hartz(ケヴィン・ハーツ)氏も参加しており、同スタートアップの2018年創業以来の調達総額は約4500万ドル(約49億円)となった。

建設テックは、きらびやかなテクノロジーを好むことが多いスタートアップの世界では、これまで「魅力的」とは考えられてこなかったセクターの1つだ。しかし、建設業は商業や不動産業の原動力ともなっており、私たちすべてに何らかの形でインパクトをもたらしていると言えるだろう。

一方、10兆ドル(約1097兆円)規模の建設業界は長い間、生産性の問題に悩まされてきた。事実、マッキンゼーによると、この業界における労働生産性の成長は1947年以降停滞しているという。

画像クレジット:Agora

Maria Rioumine(マリア・リューミン)氏とRyan Gibson(ライアン・ギブソン)氏がAgoraを設立したときのミッションは、商業取引の請負業者向けに、資材の発注と追跡、手作業でのデータ入力の自動化、そして調達プロセスに関わるすべての人への相互通信可能な単一プラットフォームの提供といった取り組みを推進することにあった。

最終的な目標は、プロジェクトの迅速な進行を支援し、請負業者が建設コストを削減して不必要な遅延を回避することに置かれている。Agoraが期待する、より大きなインパクトは、同社のSaaSプラットフォームが「建設環境をより迅速かつ効率的なものにする」ことであり、それによって都市が「より手頃になり、すべてにアクセスしやすくなる」ことだ。

サンフランシスコに拠点を置くAgoraは、極めて限定的でニッチな方法でこの問題に取り組んでおり、請負業者だけでなく投資家にも支持されていることが示されている。Agoraは、すべての取引を一括して解決しようとするのではなく、特定の垂直市場に焦点を絞っている。例えば、最初は電気関連でスタートしたが、現在は機械関連に移行している。

「2020年、1010億ドル(約11兆円)を超える規模の電気関連の案件に対応しました。当社の顧客は、あらゆる種類のプロジェクトに取り組んでいます」とリューミン氏はTechCrunchに語った。「例えば、発電所に従事する顧客、病院の建設を行う顧客、学校の教室や大学のキャンパスの建設を手がける顧客、教会やスタジアムの建設に携わる顧客がいます。これらの請負業者の仕事は、欠くことのできない重要なものです」。

Agoraの年間経常収益(ARR)は前年比で760%増加しており、顧客ベースも6倍の伸びを示しているという。従業員数もこれまでの3倍の45人に増員され、現在は顧客向けの年間資材ボリュームとして1億4000万ドル(約153億円)を処理している。

同社はシリーズBに向けて活発な資金調達を行ったわけではなく、代わりに投資家たちが積極的にタームシートを提供してくれた、とリューミン氏は説明する。

「私たちのことを十分に理解していた数人の投資家たちが、このラウンドを先取りすることについてアプローチしてきました」と同氏はTechCrunchに語ってくれた。「最初の対話から12日が過ぎた頃、複数のタームシートが用意されていました」。

Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・カーティウス)氏は、Agoraの「独自」の取引に特化したアプローチに惹かれたと語っている。

同氏の見解によると、このスタートアップは「建設における調達の未来を定義している」という。

「Agoraは巨大かつクリティカルな問題を解決しようとしています」とカーティウス氏はメールで述べている。「調達プロセスの非効率性とサプライチェーンの破綻により、年間数十億ドル(約数千億円)が無駄になっています」。

同社のプラットフォームが提供する具体的な機能としては次のようなものがある。テンプレートのカスタマイズ、事前に承認された資材リストの作成、頻繁に必要とされるアイテムの容易な再注文、40万以上のSKUを提供するカタログからの注文、そしてエラーを減らし基本的なプロセスを自動化する、手作業によるデータ入力の排除などだ。

Agoraによると、現場チームとオフィスチームの両方を1つのデジタルプラットフォームに統合することで、オフィスチームが発注処理に費やす時間を75%、現場チームが資材管理に費やす時間を38%削減できるという。全体として、同社の技術は平均的な顧客に年間最大30万ドル(約3290万円)の節約をもたらす可能性があるという。

今回調達した資金は、複数のチームにわたる人材の雇用に充てる他、30の州を越えて事業を拡大し、他の垂直市場への進出を図っていくために活用する計画だ。

「建設業界では長い間、テクノロジーへの投資不足が続いてきました」とリューミン氏はいう。平均すると、建設収入に占めるテクノロジー支出の割合は約1.5%で「これは実際、中央値が3.3%を示す業界の中で最も低い水準です」と同氏は付け加えた。

「この業界の規模と、ここ最近における生産性向上の低調さを考えると、テクノロジーに真に投資し、それを現場や請負業者に提供していくすばらしい機会が私たちに訪れているのだと感じます」。

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)