いうなれば個人向けCRM、ビジネスもプライベートな人間関係もより良く管理するClayの新ツール

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シードファンドングで800万ドル(約8億8000万円)を調達した新興スタートアップClay(クレイ)が、人生で出会う人達により深く配慮できるよう設計されたシステムを構築した。いわば、個人向けCRMのようなものだと考えるとわかりやすい。Clayでは、メールとカレンダーを、TwitterやLinkedInなどのソーシャルアプリと接続して、出会う人達のコレクションを構築する。そして、その人たちのエントリーに、今後会うときに思い出す必要のある適切な情報(職歴、最近のツイート、出会ったきっかけ、最後に話した内容など)を登録する。

また、各エントリーにあなた自身のメモを追加したり、クリックするだけでリマインダーをアクティブ化して特定の人たちをフォローし続けたり、エントリーをグループ化することもできる。さらには、コマンドバー、キーボードショートカット、ホーム画面ウィジェットも用意されている。

Clayの目指すところは、住所録でもなければ、CRMシステムのような売上やパイプライン管理を重視したものでもない。

Clayの創業者たちは、このアプリのことを「人々のホーム」と呼んでいる。つまり、人が誰とどのように知り合ったのかを追跡するより個人的なシステムを実現する新しい空間を市場に形成しようとしているのだ。

画像クレジット:Clay

Clayの共同創業者兼共同CEOである2人の企業家Matthew Achariam(マシュー・アチャリアム)氏とZachary Hamed(ザッカリー・ハミド)氏は、それぞれ異なるスタートアップで働いていた頃に出会った。Clayを立ち上げる前、アチャリアム氏は、Y Combinatorの支援を付けた分析会社Custoraで製品を担当し、ハミド氏はGoldman SachsのウェブプラットフォームMarqueeの製品管理チームを率いていた。

「人と人同士の関係は私たちのキャリアの中で本当に重要な役割を演じてきたと考えています。だからこそ、そこに飛び込んでみたかったのです」と、何がClayを立ち上げてみたいという関心を掻き立てたのかという質問に答えて、ハミド氏はこのように語った。

Clayを使い始めるにはまず、アカウントに接続する(Clayアプリにはウェブ版、デスクトップ版、モバイル版がある)。現時点では、Microsoft Outlook / Office 365、Googleカレンダー、Gmail、Twitterがサポートされている。Zapier統合を介してこれ以外のサービスを追加することもできる。セットアップが完了すると、会議や人とのつながりが自動的に追跡されるようになる。また、登録済みの人のエントリーには、ウェブから探索した詳細な情報(LinkedInやツイートに記載されているバックグラウンドや職歴など)が追加される。

人のエントリーにはその人との出会いの経緯も登録される。人と出会ったきっかけは時間が経つと忘れてしまいがちだからだ。例えばLinkedInを介してできたつながりや、直接またはオンライン会議で出会ったといった情報が記載される。

Clayのデスクトップアプリを介して、ClayをiMessageと接続することで、登録されている人たちのエントリーに電話番号や最後に話した内容などを追加することもできる。ClayはiMessageメッセージの内容をインポートすることはないが、iMessageとの統合を実現するには、正式なAPIやSDKが提供されていないという問題に対応する必要がある。つまり、この機能を実現するにはディスクへのフルアクセスが必要となる。そうなると、高いセキュリティ許可を与えることになるため、心良く思わない人もいるだろう。

画像クレジット:Clay

2人の創業者によると、Clayはプライバシーとセキュリティを重視して構築されているという。同社のプライバシーポリシーはわかりやすく書かれており、各外部システムとの統合について、取り込まれるデータとその使用方法が説明されている。現時点では、Clayのサーバー上および転送中のデータは暗号化されているが、最終的には、(調達した資金の一部を使用して)Clayの処理をすべてユーザーの端末上で実行することを目指している。

「完全にユーザーの端末上で動作するようにしたいと考えています。データを一切保存しないようにしたいのです」とハミド氏はいう。「これは技術的に極めて複雑な仕事になります。ですから、Clayの創業当初はとても手が出せませんでしたが、今は十分な資金も得られたので、そこを最終的な目標としています」。

とはいえ、Clayはその安全性をユーザーに分かってもらうのにかなり苦労する可能性がある。というのは、ユーザーは過去に「スマートな」住所録と称しながら実はユーザーのプライベートデータを乱用していた製品に何度も痛い目に遭わせられているからだ。2020年だけでも、この分野の新興スタートアップSunshine Contacts(サンシャインコントラクツ)がユーザーの自宅住所を広く配信していたことが判明している(しかも、これらのユーザーはアプリに登録もしていなかった)。他にもたくさんの似たようなアプリが開発されたが、ユーザーのプライバシーより収益を上げることを優先したために、ことごとく失敗に終わっている。

アチャリアム氏は、これまでに登場したこれらの製品の問題は、多くの場合、そのビジネスモデルにあったと確信している。

「ビジネスモデルは、この分野に参入する際に真剣に検討していたことの1つです。というのも、これまでにこの分野に登場したすべての製品は、我々とは生理的に合わないか、ビジネスモデルに問題があったために破綻していたからです」とアチェリアム氏は、スマート住所録市場の歴史について語る。「多くの製品が最初からユーザーの登録情報を利用して利益を上げることを考えていました。ユーザーはアプリを無料で使っていました。持続可能なビジネスモデルは存在せず、どこかの時点で、このトレードオフ状態を解消する必要がありました」と同氏はいう。

画像クレジット:Clay

Clayは従来とは違ったやり方を選択している。最初から料金プランを設定して、製品だけで持続可能にしたのだ。現在は月20ドルとかなり高めの価格設定だが、最終的には徐々に価格を下げ、無料プランも導入する予定だ(学生や非営利団体などは、事前にメールで要求することで、安価なプランを利用できる)。

テスト期間中、Clayは、さまざまなタイプの多くのユーザーたちに採用された。主なユーザーとして、生徒とその親を覚えたい教師、有権者を追跡したい議会選挙の候補者、顧客とそのペットを覚えたい獣医師などがいた。

「私たちは意図的に業界や分野を超えて利用されるようにしました。技術的な問題や投資家からの反発があるとは思いませんでした。とにかく広範囲のユーザーの確保を目指しました」とハミド氏はいう。

Clayは2019年から2020年にかけてのシードファンディングで合計800万ドル(約8億8000万円)を調達した。このファンディングを率いたのは、Forerunner Ventures(フォアランナーベンチャーズ)およびGeneral Catalyst(ゼネラルカタリスト)からの参加者たちだった。

エンジェル投資家として、LinkedInの前CEO Shannon Brayton(シャノン・ブレイトン)氏、Eventbriteの前CEO Kevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏、NFLプレイヤーで慈善家で投資家のKelvin Beachum(ケルビン・ビーチャム)氏、Casperの共同創業者兼Communications and Brand担当副社長Lindsay Kaplan(リンゼイ・キャプラン)氏、Airtableの前マーケティング担当部長Zoelle Egner(ゾエレ・エグナー)氏、RelateIQの前CTO Adam Evans(アダム・エバンス)氏、マイクロソフトの前戦略担当部長Charlie Songhurst(チャーリー・ソンガースト)氏、フェイスブックの前製品管理副社長Sam Lessin(サム・レッシン)氏、Moatの前CEOでオラクルのSVP Jonah Goodhart(ヨナ・グッドハート)氏、Chapter One VenturesのJeff Morris Jr.(ジェフ・モリスJr.)氏などがいる。

「新型コロナウイルス感染症の拡大で、人々はすでに当然だったことを改めて認識するようになっています。人々の関係は、オンラインでのやり取りによって生まれ、メッセージアプリによって強化されるなど、デジタル化が進んでいます。このように人々が継続的につながることができるにもかかわらず、同時にますます孤立しているのはどういうわけでしょうか」とForerunner GPのBrian O’Malley(ブライアン・オマリー)氏はClayに投資した理由について語った。「問題は既存のソーシャル関連製品が利用者にエンドユーザーとしてサービスを提供していない点にあります。個々のユーザーは、人材採用担当者や無名の広告主に利用されているだけなのです。Clayは個々のユーザーのつながりを推進するあらゆるシグナルを把握するために構築された最初のリレーションシップソフトウェア企業であり、広範な人々と良質な関係を構築できます。Clayはユーザーのネットワークはユーザーのものであり、ユーザーにその所有権限が与えられるべきであることを理解しています」。

Clayは現在、ウェブサイト経由でサインアップできる。

画像クレジット:Clay

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)