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科学者である創業者たちに議決権を譲渡するアクセラレーターかつファンドのSciFounders

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2021年1月に600万ドル(約6億8000万円)の支援を受けて設立された、アクセラレータープログラムかつファンドのSciFounders(サイファウンダーズ)が、科学者である創業者たちが自分の会社を経営することを支援する新しい提案をしている。通常は投資にともなって得られる議決権を、投資対象の一部のチームに与える計画を立てているという。

なぜそれが重要なのだろうか?まあ、いろいろな意味で時代の流れを感じる。ベンチャーキャピタルは創業者に多くの要求をすることで知られてきたが、その一方でここ数年はトップの座を維持するためにあらゆる努力をしている。新しいオフィスを開設したり、独自の編集部門を設けたり、記録的な速さでタームシートを提供したり、資金調達を完了した直後の創業者への各種チェックを免除したりという具合だ。このため創業者は運転席に悠々と座ってきた。

しかし、SciFoundersの共同創業者であるMatt Krisiloff(マット・クリシロフ)氏は、SciFoundersの考えにはそれ以上のものがあるという。SciFoundersは、学界で満足できるポジションを得られない博士号取得者の増加に対応するために2021年設立された組織だ。

クリシロフ氏自身も、幹細胞を人間の卵子に変換するバイオテック企業Conception(コンセプション)を創業者として経営を行っているが、特にバイオテック企業の創業者たちが会社をコントロールできなくなるのを見るのはうんざりだと語る。

クリシロフ氏は「こうしたスタートアップ企業は、非常に多くの資本を必要とするため、このようなことが頻発するのです」と指摘する。「ソフトウェア企業なら数千ドル(数十万円)のプレシード資金でを立ち上げることができますが、ライフサイエンス企業の場合はおそらく数百万ドル(数億円)の資金が必要です」。このため創業者にとっての状況はいとも簡単に変わってしまい、所有権も発言権も弱められてしまうのだ。

彼の組織が望んでいるのは、科学者たちがより多くの力を発揮できるようにすることであり、それがSciFoundersから提供できるなら望むところだ。クリシロフ氏は「ソフトウェアの世界でStripe(ストライプ)のCollison(コリソン)兄弟やAirbnb(エアービーアンドビー)の創業者が自分の会社を取り仕切っているように、科学者が『私たちがすべてを担当する一級市民です』と言えることは、長期的にはすばらしいことだと考えています。私たちは、科学者の創業者の世界にも、そのようなことが広く行われるようにしたいと考えているのです」と語る。

SciFoundersは、これまでに7社に40万ドル(約4550万円)を提供し。10%の株式と引き換えにメンターシップを提供してきたが、この規模の企業が与えられる影響は限られている。

会社の課題について少なくとも発言権を持つことができる、議決権という現在のリミテッドパートナーが自由に使える数少ない手段を手放すようなVCに、賛同するパートナーはあまりいないだろうと私たちが言っても、クリシロフ氏がたじろぐ様子はなかった。

その動きをどこかで始めなければならないと彼は考えているのだ。さらに、SciFoundersは、学術関係者がこれまで受けてきたよりも多くの助言を行うことで、すでに神経を逆なでしていると考えている。クリシロフ氏によると、現在SciFoundersが支援しているのは7つのチームだが「イテレーションサイクルには非常に長い時間がかかる」ため、アクティブな支援は最長で1年間を予定している。その一方で、現在1000件以上の応募を抱えているが、その多くはツイッターでSciFoundersのローンチを告知した後に到着したものだ。

SciFoundersは、Y Combinator(Yコンビネーター)と提携して研究プロジェクトのポートフォリオを運営していたクリシロフ氏に加えて、分子生物学者でGenentech(ジェネンテック)の博士研究員だったAlexander Schubert(アレクサンダー・シューベルト)氏と、Mammoth Biosciences(マンモス・バイオサイエンス)の共同創業者で最高科学責任者のLucas Harrington(ルーカス・ハリントン)氏が共同で設立した。

ハリントン氏とMammoth Biosciencesを創業した、他の3人の共同創業者の中には、CRISPR-Cas(クリスパー・キャス)ゲノム編集技術の発明者であるJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)氏がいる。ダウドナ氏は長年の共同研究者であるEmmanuelle Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)氏とともに2020年ノーベル化学賞を受賞した。

画像クレジット:Andrew Brookes/Cultura/Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)