暗号資産ゲームは短期的にどれだけの資金を吸収できるだろうか

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みなさんこんにちは!今回は、インシュアテック、SPAC、そしてダイレクトリスティングがIPOの価格問題をどれだけ解決できるかについてお話ししたい。だがその前に暗号資産について取り上げる。

先週の暗号資産周辺はにぎやかだった。Coinbase(コインベース)の業績報告からは、第3四半期の資産クラスの取引活動がいかに忙しかったかを知ることができた。Robinhoodの業績報告を思い出せば、Coinbaseが開示したものは驚きではないだろう。米国の株式投資プラットフォームの暗号資産収益が大幅に減少したために、Coinbaseも第2四半期と比較して、取引量と収益の両者が減少した。

これに関連して、暗号資産取引所FTXの米国事業所が自社のパフォーマンスデータの一部を公開した。これによると、2021年9月までの3カ月間は全体的に減少傾向にあるものの、暗号資産取引市場はまだ成長可能であることが示されている。

つまり、暗号市場は急速に進化(脱皮?)し続けているのだ。大規模ブロックチェーンと中小規模のコインのアクティビティは、四半期ごとに大きく変動する可能性がある。Coinbaseのような企業にとっては、これは収益や利益の変動を意味している。

しかし、Coinbaseは現金を豊富に持っているため、暗号活動の長期的な動きがポジティブなものである限り、短期的な浮き沈みはそれほど大きな問題ではない。

長期的な上昇トレンドに賭けるもう1つの企業集団は、暗号資産ゲーム会社たちだ。彼らはここ数カ月、非常に忙しい日々を送っている。例えば、Patron(パトロン)は暗号資産ベースのゲームに投資するために9000万ドル(約102億5000万円)のファンドを組成し、Mythical Games(ミシカル・ゲームズ)は暗号資産ゲームを開発するために2021年の夏に7500万ドル(約85億4000万円)を調達、トレーディングゲームのParallelは評価額5億ドル(約569億3000万円)で調達を行い、Axie Infinity(アクシ・インフィニティは)2021年の年頭に資金調達を行っている

また先週、Forte(フォルテ)は、暗号資産ゲームのインフラのために7億2500万ドル(約825億4000万円)を調達した。このことから、私はブロックチェーンゲームが短期的にどれだけの資本を吸収できるのだろうかと考えている。これまでのところ、少なくとも伝統的なベンチャーキャピタルの考え方の中では、ゲームはベンチャーキャピタルの投資対象としては不適切であることが証明されてきた。それはなぜか?というのも、ゲームはどちらかというとヒットに左右される商品であり、発売後に好調でも収益が減少していくタイトルもあるからだ。

投資家は、予測可能で成長性のある強力な収入を求めている。そして投資家は、収益の不均一性や不確実性を嫌うものなのだ。新規タイトルは、失敗する可能性があるという不安要素を持っている。

それなのに、暗号資産に群がり、ゲーム企業がもてはやされているとは?ベンチャーの投資対象としての魅力を失わせていたゲーム会社の経済的・社会的リスクが、ブロックチェーンをバックボーンとして構築されることで改善されるというのだろうか?それがなぜそうなるのかを私は理解できない。しかし、投資家たちはあたかもそれが起きるとばかりに資金を投入している。さまざまな賭けがどのような損得に落ち着くのかを見ていきたいと思う。

インシュアテック、SPAC、そしてデータ

現在は決算期を迎えている最中だ。メジャーな企業はもちろんのこと、中小企業も多くの時間とエネルギーを費やしている。先週のいくつかの決算報告会から、以下のようなことがわかった。

インシュアテックは難しい:Metromile(メトロマイル)がLemonade(レモネード)に身売りしたというニュースの直後では、公開インシュアテック企業の運命に疑いが生じても仕方がない。とはいえ、先週発表されたRoot(ルート)の決算では、この自動車に特化した保険会社の業績が投資家に評価されて、株価が大きく上昇した。

しかし、Rootにとっては、ライバルが新しい落ち着き先を見つけたからといって、すべてが順風満帆というわけではない。先週、RootのCEOであるAlex Timm(アレックス・ティム)氏にインタビューした結果、私たちは保険分野での成長のタイミングがいかに複雑であるかを知った。

現在、多くの自動車保険会社が直面している補償価格の設定に関する市場の不確実性(つまりRoot自身の問題ではない)を考慮し、Rootは短期的な成長目標を引き下げたとCEOは説明している。車両や人件費などのインフレ圧力により、保険料の決定が難しくなっており、市場の各プレイヤーが新規契約の獲得に慎重になっていることがわかった。

これは、Rootが長期的に問題を抱えていることを意味するものではないが、マクロ的な状況が、どのように技術や技術を応用したビジネスにとって厳しい状況をもたらしているかを示している。Rootは、データとスマートなソフトウェアが、時間とともに保険の価格を改善していくことに賭けている。しかし、上場直後の同社は、事実上前例のないビジネスの根本的な経済的変化に遭遇していると、ティム氏はいう。Metromileが上場後すぐに諦めて事業を売却したのは、このような複雑な事情があったからかもしれない。

SPACはおそらく大丈夫:先週、NextDoor(ネクストドア)が公開会社として取引を開始した(オリジナルのメモはこちら)。私たちは取引初日にCEOのSarah Friar(サラ・フライア)氏にインタビューを行い、彼女が選択した上場方法について話を聞いた。

彼女によれば、NextDoorは2020年後半に製品計画の一部を止めなくてはならなくなり、これによってより多くの資金を調達する必要性が生じたのだという。また、NextDoorは上場準備が整っており、SPACパートナーを通じて事前に決められた価格でまとまった資金を調達することができたため、この取引は彼女の会社にとって意味のあるものとなった。

これはある意味標準的な視点であり、SPACが2021年初頭に流行した理由を詳しく説明してくれるものだ。しかし、その後の状況は変わり、多くのSPAC主導の組み合わせでは、買収対象を発表して取引を完了させた後に、一部の支援者が資本を引き上げることも起きている。

NextDoorは、そうした資金引き上げ問題が必然的なものではないことを示した。最初のリリースでは、SPACパートナーが4億1600万ドル(約473億2000万円)の現金を事業に注入するとしていたが、最終的な集計では4億400万ドル(約460億円)となった。これは、失われた資本比率としては超低水準だ。そして、NextDoorの株価は、SPAC以降順調に推移している。このように、SPAC主導のデビューでも、場合によってはうまくいくこともあるようだ。

ダイレクトリスティングは価格の万能薬ではない:Amplitude(アンプリチュード)は、最近ダイレクトリスティング(直接上場)を行い、先週上場企業になって初めての収益を報告した。上場以来、同社の取引は好調で、今週の終値は1株当たり73.86ドル(約8409円)と、基準価格の35ドル(約3985円)を大きく上回っている。

Yahoo Finance(ヤフー・ファイナンス)によれば、同社の現在の価値は80億ドル(約9108億円)強だ。同社が不本意な価格付けを避けるために伝統的なIPOではなくダイレクトリスティングを選択したことに対して、私たちは、同社がダイレクトリスティングに先だって2021年初めの調達時の評価額が約40億ドル(約4554億円)だったことに苛立っていたのではないかと気になっていた。結局、彼らは価格の問題を避けるためにダイレクトリスティングを行い、Roblox(ロボロックス)が行ったように事前に個人投資家から資金を調達したのだ。

AmplitudeのCEOであるSpenser Skates(スペンサー・スケイツ)氏は、従来のIPOでは価格の歪みがさらに大きくなっていただろうと語り、ダイレクトリスティングに手応えを感じていると述べた。それに対して、私たちは「おそらくそうでしょうね」と答えるだけだ。しかし、非公開市場の投資家が自分の資金を一気に倍にしてしまう様子は、結局別の金持ちが儲けをさらっていくだけの間違った値付けのIPOが生み出す「儲け損ない」と似たものにみえる。

それではまた!

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)