ヘルステック
IRL(企業・サービス)

ソーシャルアプリ「IRL」がユーザーの依存、中毒性の心理をベースに開発するAeBeZe Labsを買収、健康的で倫理的なアプリを目指す

次の記事

ユーザーのホログラムを世界中にテレポート、新たなつながり方で働き方や遊び方を変えるPORTLが13.7億円調達

ソフトバンクの支援を受け、最近ユニコーンとなったソーシャルアプリのIRLは、米国時間12月2日、最初の買収を発表した。同社は、IRLをより健康的で倫理的に設計されたソーシャルネットワーキング・アプリにすることを目的として、「デジタルニュートリション」企業であるAeBeZe LabsとそのIPポートフォリオを非公開の金額で買収する。

AeBeZeの共同創業者は元eBayの「グローバル・チーフ・キュレーター」であるMichael Phillips Moskowitz(マイケル・フィリップス・モスコウィッツ)氏と、元MediumのプロダクトリードであるBrad Artizinega(ブラッド・アルティジネガ)氏で、彼らはAeBeZeのチームの他のメンバーとともにIRLに加わり、同社の発見システムやその他の機能を開発していく。

IRLは、Facebookをあまり利用しない25歳未満の若者が主なユーザーで、ソーシャル化されたカレンダーとグループメッセージングとイベントを合わせたようなアプリだ。当初はリアル世界のイベントを見つけることが主な使い方だったが、パンデミック中にはそのフォーカスがバーチャルイベントに移った。現在はその両方を提供し、グループチャットやユーザープロフィール、グループカレンダー、クロスプラットフォームのサポートなどの機能もある、本格的なソーシャルネットワーキングアプリになった。

買収の前までは、IRLの収益化路線には広告が含まれず、広告は健康的なソーシャルアプリの構築を阻害すると見なされていた。収益を広告に頼ると、そのアプリで過ごす時間を増やすために、ユーザーがのめり込むような体験を設計しなければならない。しかしIRLが狙ったのは、ユーザーを関心をよせる対象に接続することによる収益化だ。何らかのコミュニティの有料サブスク、イベントのチケットの購入などがその例で、IRLは彼らの売上の一部を得る。

AeBeZeを買収し、その技術を得たことで、ユーザーが関心を持つイベントやコミュニティの推薦がよりスマートになる可能性がある。またそれと同時に、なぜこんな推薦があったのか、その理由がより透明になる。今日のソーシャルネットワークでは、常になぜこのようなものが表示されるのかわからないコンテンツがフィードに紛れ込むため、IRLのこのやり方は他と一線を画すものとなる。

画像クレジット:AeBeZe Labs/IRL

AeBeZe Labsは、IPのポートフォリオを作成しており、その中には消費者や米軍の将兵、エンタープライズのパートナーなどを対象とするソリューションがある。たとえば気分を追跡する消費者アプリMoodriseや、空軍用のモバイルツールDaybreak、YouTubeのコンテンツを分析するMoodTubeなどだ。出願している特許は16あり、特許を獲得したものは3つ、審査中が13だ。そして同社の特殊な用語である「デジタルニュートリション」は、同社の登録商標だ。

画像クレジット:AeBeZe Labs/IRL

その作品の多くは、ユーザーの「デジタルニュートリション」(主にネット上の視聴や参加体験)が脳心理学に及ぼす影響を理解し自覚することの学習に関連している。そして、その学習で得た知識は、問題のあるインターネット利用やその他の危険な行為に導く習慣の防止に役立つ。

これは、現代のソーシャルネットワークが、ユーザーの依存性 / 中毒性の心理をベースとして構築されていることと対照的だ。たとえばプルをしたリフレッシュするジェスチャーや、新しいコンテンツを配布するアクションは、脳神経回路中に中毒性のドーパミンを放出する。きっとご存知のドキュメンタリー「The Social Dilemma」は、大手テクノロジー企業がプロダクトをユーザーを操作するために設計している方法を詳しく紹介している。

IRLが特に関心を寄せているのが、AeBeZeのDaybreakだ。このモバイルカレンダーは常にユーザーの気分を追跡する。また、ユーザーの気分を高揚させるコンテンツを紹介し、それらを見る時間帯を1日の中に設定する。

画像クレジット:AeBeZe Labs/IRL

IRLの創業者でCEOのAbraham Shafi(アブラハム・シャフィ)氏は次のように説明する。「私たちはインターネットに親密さを持ち込みたいし、基本的に、先人たちから学びたい。現在は、ソーシャルメディアが、ドーパミンやセロトニンを出していると知っていることを利用して、さまざまな習慣や習慣的パターンを、私たちにとって不健康なものの周辺に作り出している。私たちは、それに手を出さないことに大きな関心があり、実際に彼らと反対に、健康的な習慣を作るものを提供している。自分1人で有意義な習慣を作るのではなく、友だちと一緒に作れるように」。

シャフィ氏によると、IRLはDaybreakの技術を統合する計画だ。そうなると、ユーザーがアプリを立ち上げたとき、その日その時の自分の気分にマッチしたコンテンツに出会うだろう。Daybreakのユーザーがしているように、アプリを立ち上げたとき質問に答えて自分の気分を報告する機能になるかもしれない。

「それが正しく機能するためには、ダイレクトなインプットが不可欠だ。そのことを前提してアプリを作っていくだろう。そうすると、ユーザーと、彼 / 彼女が受け取るコンテンツとの間に明快な理解があるようになる」とシャフィ氏はいう。

AeBeZeの技術を統合したIRLの最初のバージョンは、2022年前半にローンチ予定だ。AeBeZe Labsは現時点で創業わずか2年ほどの企業で、これまでに100万ドル(約1億1000万円)強の資金を調達している。

画像クレジット:IRL

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)