転職時には自分の仕事を客観的に説明できるスキルが必要

KAKEHASHI取締役CTO海老原氏に聞くスタートアップへの転職(1)

「CAREERS TechCrunch Japan」は、スタートアップ企業への転職を考えているユーザーに向けた特別企画。創業メンバーではなく、スタートアップに転職を経験した人物に直接取材し、転職を考えた理由から、スタートアップで働くことの意義や楽しさをじっくり聞いていく。第1回のゲストはKAKEHASHIの海老原 智氏。

連載:KAKEHASHI取締役CTO海老原氏に聞くスタートアップへの転職

海老原 智
株式会社KAKEHASHI取締役CTO

20代は凸版印刷株式会社でC++/OpenGLによる内製VR統合開発環境の実装を担当するなど、3DCG関連の開発に従事。

その後ウェブ開発に転向し、グリー株式会社にてSNS/プラットフォームのサーバーサイド開発、Android版SNSアプリ/プラットフォームSDK関連のチームリーダーなどを経て株式会社サイカに取締役CTOとして参加。

サイカ辞任後紹介により株式会社KAKEHASHIの中尾氏、中川氏の両名と知り合い、ビジョンに強く共感し何もない状態から開発組織を立ち上げるためCTOとして参加。

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株式会社 カケハシ「医療をつなぎ、医療を照らす」調剤薬局向け電子薬歴システムを提供するヘルスケアベンチャー

KAKEHASHIは、電子薬歴システム「Musubi」を開発・提供している、2016年3月設立のスタートアップ。主な顧客は調剤薬局で、患者の疾患や年齢、性別、アレルギー、生活習慣、検査値などのデータを基に最適化した服薬指導をサポートする。季節に応じた対応や、過去の処方や薬歴などを参照した指導内容の提示も可能だ。データを入力していくことで各種情報が蓄積され、より高い精度で患者に最適な服薬指導やアドバイスを自動提案してくれる。

Musubiはタブレットを使用するサービスで、服薬指導中に患者と一緒に画面を見ながら、話した内容をタップするだけで薬歴の下書きを自動生成できるのも特徴だ。調剤薬局といえば、医師から出された処方箋を手渡して薬をもらうだけの場所になりがち。通常は「(処方された薬を)ジェネリック医薬品に切り替えますか」「お薬手帳を持っていますか?」ぐらいの会話しか発生しない。

こういった環境にMusubiを導入することで「かかりつけ薬局」としての存在感が増すという。患者にとっては、診察を受ける医療機関はさまざまでも、薬を受け取る調剤薬局を1つに決めておくことで薬歴が集約されるので、調剤薬局で市販薬を購入する際の服薬指導やアドバイスの精度も増すはずだ。小児科や皮膚科などは平日でも混み合っていることが多く待ち時間が長い。深刻な症状を除けば、調剤薬局に相談して解決というケースも増えるだろう。

大学院を卒業後、大手印刷会社でR&D事業部に配属

海老原氏は、このMusubiを開発するKAKEHASHIでCTOとして開発全般を統括している人物。新卒で大手印刷会社の凸版印刷に就職。R&D部門に配属され、C++/OpenGLを使って独自のVR統合開発環境の開発を任されるなど、主に3D CG関連の仕事に従事していたそうだ。「二十代のころは、3G CGでプロダクトを作ってればそれで十分楽しいという生活でした」と語る。

しかし、「凸版印刷ではいろいろ自由にやらせてもらえましたが、当時のソフトウェア開発業界全体に目を向けると開発者を取り巻く社会環境は健全なのだろうかという想いが徐々に芽生えていった」と海老原氏は振り返る。一開発者としての仕事は楽しかったものの、「まず自分で健全な働き方で成果が十分に上がる組織を作ることで手の届く範囲の状況を変えること、そしてそれを元にプロダクト開発の進め方に対する考え方自体を変えていくことができるのではないか」という想いもあって大きなキャリアチェンジ決意したそうだ。そこで海老原氏が選んだのがグリーだった。

スタートアップ文化に飛び込むためグリーに入社

なぜグリーに入ろうと思ったのだろうか。海老原氏は「グリーには2年半ほど在籍していましたが、テックスタートアップとは、技術組織を一から作るとはどういうことなのかというのを肌で感じて理解するつもりで入社しました」とのこと。「当時のグリーはまだ100人ほどの規模でしたが、優秀なエンジニアがたくさん集まっていて、そこに入れば技術的にももっと成長でき、拡大していく組織の移り変わりを感じられる」と考えたそうだ。実際に、それまで開発の経験がなかったWeb開発のプログラミングについて、先輩のエンジニアに助けられながら短期間でキャッチアップできたそうだ。「グリーでは上司と先輩に恵まれた」と海老原氏。

グリー退職後は、2012年2月設立のサイカに取締役CTOとして入社。同社は、テレビCMや交通広告などオフライン広告の効果を数値化する広告分析ツールを開発しているスタートアップ。そして2016年6月にKAKEHASHIに入社することになる。

一般のエンジニアとは少し異なるかたちでキャリアを積み重ねてきた海老原氏だが、最初の就職先である凸版印刷を辞めた27歳ぐらいのときも、職を失うという不安はなかったそうだ。「最近ほどではないですが、当時もソフトウェアエンジニアは売り手市場だったので就職先はいくつかありましたし、凸版印刷ではプロジェクトをやり遂げたという自信もあったので、不安よりも挑戦する気持ちが強かった」とのこと。

転職を考える際に大事なこと

続けて海老原氏は「ソフトウェアエンジニアで転職を考えているなら、これは自分が組織や事業に対して技術的に貢献できた価値だと言えることを客観的にきちんと、そして深く説明できるように準備しておくことが大事」と語る。そのうえで「スタートアップの転職を考えるのであれば、やはりカルチャーフィットが重要」と続ける。KAKEHASHIでも採用の大前提として、転職希望者が同社の社風に合うかどうかを時間と人をかけて見極めるとのこと。次回は、その採用の部分について詳しく聞いていく。

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