建設業界に革命を起こすConTechスタートアップまとめ

建設業界の市場規模は、バブル経済時の80兆円超とまではいかないものの、国土交通省の「建設投資見通し」によると、ここ数年は50兆円超で推移している。そして、2018年度(平成30年度)は57兆円を超えており、国内産業では自動車に次ぐ巨大な市場規模だ。

もちろん建設業界はいまも非常に忙しい。その一因は、2020年の東京五輪、2025年の大阪万博と世界的なイベントの開催が控えているからだ。しかしその一方で、職人が集まらないことが原因で工期が遅れたり、建設コストが跳ね上がったりという問題も各所で発生しており、忙しさに拍車をかけている。

職人不足のそもそもの原因は、職人の高齢化のほか、職種が細分化されている、仕事の受発注を各地域のコミュニティに頼っている、個人事業主(一人親方)が多いなど、建設職人の特殊な労働環境にある。

高齢化については、少子高齢化の影響もあり50~60代の職人が最も多く、若手の職人が少ない。それに大きく関連するのが労働環境。仕事先が決まると、休みを十分に取れないという建設現場も多い。しかも、天候不順や資材の到着遅れ、重機不足などの問題で作業できない日が発生すると、突然半休や全休になったり、工期を伸ばせない現場では休日が作業日に変わったりとスケジュールも不安定だ。

建設職人の職種には、大工、内装工事、左官、型枠、塗装、電気工事、造園、とび・足場など多種多様。内装工事ひとつをとっても、鉄製下地、ボード、クロス、床などさまざま仕上げ作業がある。建設現場が大規模になればなるほど、各技能を持った職人を作業の数だけ確保する必要がある。しかも、作業は順番に進めて行く必要があるため、なんらかの問題で工期が伸びると、あとに作業する職人を確保しておく時間がそれだけ長くなる。実際には、作業工程ごとにある程度の余裕を持たせてそれぞれの職人を集めることが多いが、工期遅れや、それによるコスト増が発生しやすい構造になっていることは確かだ。

1つの建設現場で働いている場合は、合間にほかの仕事を受けるのが難しいという問題もある。前述のように、建設現場では仕事の終わりがはっきり決まっていないことも多く、いま受けている仕事を確実に終えてからでないと次の仕事の開始日を決められない。

そして同じ職種の仲間内のネットワークで仕事が回ってくることが多いため、タイミングが悪いと数日間仕事がないということも発生する。その結果、休日も収入も不安定となり、若手の職人が増えない一因になっている。こういった受発注のミスマッチ問題を解決するのがConTech(建設テック)企業だ。今回は、こうした問題に取り組むConTech企業をスタートアップを中心にまとめて紹介する。

もちろん建設会社側も、現在の建設現場と職人のミスマッチ問題は理解している。例えば、マンションの修復工事などを手がけるカシワバラ・コーポレーションは、ConTech向けに50億円規模のファンド組成を発表済みだ。同ファンドによるConTechスタートアップへの支援だけでなく、同社が手がける建設現場を新技術の実証実験や導入支援のために提供することも考えている。

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オクト

クラウド型施工管理アプリ「ANDPAD」(アンドパッド)を提供する、2014年4月設立のスタートアップ。&ANDPADは、建築施工管理が現場から社内業務まで一気通貫で処理できる、建設プロジェクト管理サービス。専用のスマホアプリを利用することで、現場写真や図面資料を集約して一覧でき、工程表も共有できる。職人と監督とのやり取りにはチャットが使えるほか、作業日報もその場でアプリから作成できる。

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カヤック LIVING

建築の専門家とのマッチングサイト「SuMiKa」を運営。同サイトでは、家づくりを検討しているユーザーと建築の専門家を結んで 「スマートメイド」型の家づくりを実現する。新築住宅から棚まで、予算や場所、工期といった条件に応じて専門家を集められる。社名からわかるように同社は、スマホゲームやAIチャットボットの開発などを手がけるカヤックのグループ企業。SuMiKaのサイト自体は2013年6月設立されたサイトと同名のSuMiKaというスタートアップが運営していたが、2017年9月にカヤックLIVINGに事業譲渡して現在に至る。

SHELFY(シェルフィー)

店舗を出店・改装したい人と、デザイン・施工会社をつなぐマッチングプラットフォームを運営する、2014年6月設立のスタートアップ。会社設立と同時にSHELFYのサービスを開始し、これまで全国700社以上の内装会社が登録し、1500社以上の飲食・小売といった企業の店舗開発に利用されたとのこと。そのほか「Greenfile.work」というサービスも運営している。こちらは、工事現場に欠かせない「労務安全書類」(グリーンファイル)に関する情報をクラウドで管理し、ウェブ上で作成できるというもの。同社は、TechCrunch Tokyo 2015で開催されたピッチイベント「スタートアップバトル」のファイナリストでもある。

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職人さんドットコム

建設職人向けの情報サイト「職人さんドットコム」を運営する、2006年3月設立の企業。2013年4月に、職人のスマートフォン向け情報発信サービスとして自社サイトの運営を開始。2018年5月にサイトをリニューアル。現在は、求人情報やプロ向け資材・工具のショップ検索、工具・資材のメーカー検索などのサービスを職人向けに無料で提供している。2017年からスタートした「工具防犯登録」では、電動ドリルやレーザー測定器など、高額なプロ工具の盗難を防ぐための防犯登録システムを提供する。

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助太刀(すけだち)

建設現場と職人をつなぐマッチングサービス「助太刀」を開発・運営する2017年3月設立のスタートアップ。TechCrunch Tokyo 2017のピッチイベント「スタートアップバトル」の審査員特別賞に輝いた企業でもある(当時の社名は東京ロケット)。直近では5月に助太刀アプリのUI/UXをフルリニューアル。職人や現場を職種や居住地で検索可能になったほか、職人同士のメッセージ機能を強化。人手が足りない場合は、建設現場の情報を公開して応援職人を募集することもできる。同社ではそのほか、助太刀を利用した職人が給料をチャージして使うプリペイドカード「助太刀カード」や、働いたぶんの給料を即日受取できる「助太刀Pay」のサービスも提供している。

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SORABITO(ソラビト)

中古建機の売買プラットフォーム「ALLSTOCKER」を運営する、2014年5月設立のスタートアップ。建機の買取販売などに携わっていた経験のある青木隆幸氏が創業した。オンライン上で建設機械や重機、運搬車両など「働く機械」を売買できるプラットフォームとしてALLSTOCKERをローンチし、2015年11月に正式リリース。現在はマーケットプレイス形式の「ALLSTOCKERマーケット」とオークション形式の「ALLSTOCKERオークション」を運営。そのほか、世界中のバイヤーのオファーを集約し買取価格を提示する相見積サービスも提供している。

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ダンドリワークス

建築現場のクラウド型コミュニケーションツール「ダンドリワークス」を提供する、滋賀県が拠点で2013年5月設立のスタートアップ。クラウド上で「現場管理」の情報を共有することで、電話やFAX、メールなどのやり取りをなくし、効率的な情報共有を実現する。具体的には、現場写真や図面、仕様書、ガントチャート、カレンダーなどをクラウドで共有可能。クラウドなので内容が更新されても常に最新の情報を得られる。直近では2019年5月に、住宅建築の技術総合コンサルティングを手掛けるNEXT STAGEと業務提携契約を締結し、クラウド上の現場写真データを活用した業界初の「クラウド施工品質評価サービス」の提供を開始した。

truss(トラス)

建材比較サービス「truss」(トラス)を通じて建築設計施工者、建材メーカーの課題解決を目指す、2014年12月設立のスタートアップ。種類が多様化する中、建材はいまだに紙のカタログをくまなくチェックして製品ごとの特徴を把握する必要がある。このような「紙のカタログ問題」をITで解決するのがtrussだ。同社は、TechCrunch Tokyo 2017で開催されたピッチイベント「スタートアップバトル」のファイナリストでもある。

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ハンズシェア

無料で利用可能な建設会社マッチングサイト「ツクリンク」を運営する2012年7月設立のスタートアップ。リフォームや内装、塗装などの建築工事情報や、とび工事などの土木工事情報をサイト上に登録すると、施工可能な会員から取引連絡が届き、交渉が可能になる。無料で自社プロフィールページを作成することも可能で、業者間ネットワークの拡大や営業の効率化、コストの削減を目指す。

MonotaRO(モノタロウ)

兵庫県尼崎市を拠点とする2000年10月設立の企業。事業者向けの工具や建材、厨房設備などの通信販売サイト「モノタロウ」を運営している。平日15時までの受注は原則当日発送となり、最短で翌日には注文した商品が手に入るのが特徴の1つ。2019年6月には、モノタロウのサイトにプレイドのCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」を導入。KARTEの導入には、顧客理解の強化や来訪ユーザーへのパーソナライズを強化する狙いがある。

Local Works(ローカルワークス)

建設・リフォーム業界の課題解決に向けて複数のサービスを展開する2014年2月設立のスタートアップ。リフォーム・修理事業者の価格比較サービス「リフォマ」、建設事業者同士のマッチングサービス「Local Works Search」、施工業者向けの決済代行サービス「Local Works Payment」という3つのサービスを手がける。

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ユニオンテック

2000年設立の建設会社。建設職人と建設現場をマッチングするサービス「SUSTINA」を展開。2016年4月にSUSTINAの前身となる「TEAM SUSTINA」のサービスを開始後、ネット事業に力を入れてきた。2019年2月には、会社設立20年目にして米国のベンチャーキャピタルから約10億円を資金調達するなど、スタートアップ的な動きを加速させている。

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