教育・学習を環境を進化させるEdTechスタートアップまとめ

EdTechという言葉を知っているだろうか。EdはEducation(教育)の略で、教育環境や学習の環境をテクノロジーによって進化させるのがEdTech。一般にはエドテックと読む。HR TechやFinTech、Health Techなどと同様で業種+Techだが、農業をテクノロジーで進化させるAgTech(アグテック)と同様、字面を見ないとなかなかイメージできない造語ではある。

最近では、2020年からは小学校でプログラミング教育が必須科目に加えられることや、スマートフォンやタブレット端末が一般に普及してきたことで、EdTechも盛り上がりを見せている。

【連載】教育・学習を環境を進化させるEdTechスタートアップまとめ

まず、小学校でプログラミング教育の必須科目になることを見越して、未就学児童や小学生向けには、Scrachなどのビジュアルプログラミングツールを使ったプログラミング教室が大都市圏を中心に盛んに開催されている。例えばアップルは、Code.orgと呼ばれる団体が主催するプログラミング教育活動であるHour of Codeのワークショップをアップル直営店で年に数回実施中だ。

そのほか国内では、IchigoJamと呼ばれるBASIC言語を学べる手のひらサイズのパソコン(シングルボードコンピュータ)も人気だ。また英国のBBC(英国放送協会)が開発したシングルボードコンピュータであるmicro:bitも、国内のプログラミング教室で使われるようになってきた。

一方、スマートフォンやタブレット端末を活用したEdTechとしては、教育教材大手のベネッセグループが「予習復習効率UPアップ」アプリをリリースしている。ユーザーが通う高校の教科書に記載されているバーコードを同アプリで読み込むことで、その教科に適した予習や復習が可能になるというもの。

家庭教師のトライが提供している映像学習の「Try IT」もある。こちらは1授業が約15分にまとまった約4000本の映像コンテンツを、スマホを使ってスキマ時間に補習や復習ができる。いずれもスマホの普及によって実現したサービスといえるだろう。

資金調達関連の動きとしては、昨年に教育系の出版大手である旺文社がCVCとして旺文社ベンチャーズを設立し、10億円規模のファンドを組成したほか、大手予備校の駿台グループが、オンライン家庭教師サービスのmanaboを買収するという動きもあった。

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このように大手がさまざまなサービスの提供や買収を進める中、さまざまなEdTech系スタートアップの起業も続いている。ここではTechCrunchで取り上げた企業と中心に五十音順に紹介していこう。

atama plus

同社が提供している中高生向けタブレット型教材「atama+」(アタマプラス)は、「得意」「苦手」「伸び」「つまずき」「集中状態」などのデータをAIが分析し、各々に適した「自分専用レッスン」を作成することで学習を効率化するのが特徴だ。

現在、栄光(栄光ゼミナール)、学研塾ホールディングス、ティエラコムをはじめとする500以上の教室に導入されており、各教室で集めたデータを基にアルゴリズムやコンテンツが日々最適化されているとのこと。今年からは、駿台教育センターでは「AI演習講座」、Z会エデュースでは「AI最速定着コース」、城南進学研究社では「城南予備校DUO」として、atama+に特化したAI学習コースも開設されている。

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Edmodo

世界各国で利用されている教育向けプラットフォーム。教師同士、生徒同士だけでなく、教師と生徒、保護者までつなぐことでさまざまな情報共有が可能になる。具体的には、教師同士の意見交換や情報共有、Edmodoを利用して生徒が教師にネット経由で質問、生徒の解答を教師がリアルタイムに把握して理解度を図るといったことが可能だ。国内では、Z会が事業パートナーとなっている。

COMPASS

AIが個人個人の得意・不得意を分析し、解くべき問題へと誘導するタブレット型教材「Qubena」(キュビナ)を展開。生徒一人ひとりの問題の解き方や間違え方をAIが分析し、数万問の中から個々に合った最適な問題(簡単すぎることもなく、難しいすぎることもない)を出題してくれるサービスだ。現在は小学算数と中学数学に対応。ペンを使ってタブレット上に手書きするスタイルで、定規やコンパス、分度器を使った作図もでき、タブレット1台あればすべての学習が完結する

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Classi

クラウド型学習支援プラットフォーム「Classi」の提供を通じて、アダプティブラーニング、アクティブ・ラーニング、コミュニケーション、ポートフォリオの4つの視点で学習を支援している。約5000校ある全国の高校の4割超となる約2100校で導入されている。ベネッセホールディングスとソフトバンクグループの合弁会社として2014年4月に設立された。

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Quipper

クラウドベースの学習プラットフォーム。2010年12月の設立で、2011年にユーザー誰もが学習コンテンツを作成したり回答したりできる学習UGCサービス「Quipper Quiz」を公開し、サービスをグローバルに展開。2015年4月には全株式を47.7億円でリクルートに譲渡し、リクルート傘下でオンラインラーニングプラットフォームを提供している。

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スタディプラス

同社が提供する学習管理プラットフォーム「Studyplus」は、受験生を中心に現在約400万人の学生が利用している。ユーザーである学生が、自分の勉強の記録をつけてグラフとして可視化したり、勉強仲間を作ってコミュニケーションをしたりする機能を備えている。

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スマートエデュケーション

知育アプリを手がけるスタートアップ企業。キャラクターを触ると動いたり、音が出る仕掛けが満載の絵本アプリなどを配信している。絵本をスキャンしただけのデジタル絵本とは異なり、親子で一緒に楽しめるのが特徴だ。生後8カ月から12歳までの年齢に対応したデジタル絵本を多数取りそろえている。

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すらら

ゲーム感覚で国語や数学、英語を学ぶことができる「すらら」、TOEIC試験対策向けのオンライン教材「everyday TOEIC®L&R TEST」、生徒ひとりひとりが自分の学力に応じた演習問題に取り組める、クラウド型のアダプティブ・ラーニング教材「Pitadri」などのサービスを提供するほか、各種教育イベントなど主催。なお2019年4月からは、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校に「すらら」が導入されている。N高はカドカワグループが設立した通信制高校で、ネットを活用した授業や部活などのサービスを提供している。

SENSEI NOTE

学校教員向けのコミュニティを提供するサービス。利用は無料だが、教員や教員志望の学生に利用を限定している。サービス上では、Facebookライクな画面でタイムラインに教育や授業に関する内容を投稿したり、「チャンネル」と呼ぶコミュニティに参加したりできるほか、Q&A機能の「質問板」を用意する。

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KNEWTON

本人の学習履歴、他の学習者の学習行動データ、人間の学習の仕組みに関する数十年にわたるデータをベースに、学習体験を向上させるツールを提供。理解度や進度を把握して、学習者を次の最適な学習ステップへと導く。教育全般に適用可能で、さまざまな教科・科目、年齢層、言語に対応する。

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モノグサ

憶えたい(させたい)情報を取り込むことで、知識を定着させるために最適な問題を自動で生成してくれる学習アプリを提供。特徴的なのは、各ユーザーの記憶度に応じて問題の出題頻度や難易度が調整されること。出題のタイプも「4択、5択、自由入力、写経」とバラエティに富んでいて、同じユーザーでも進捗に応じて形式や選択肢が変わる。

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Udemy

教育のオンラインマーケットプレイス。ソフトウェアからビジネススキル、デザイン、写真、音楽などのさまざまなジャンルをオンラインで学べるのが特徴だ。10万本超の映像コンテンツを保有しており、1コース1300円から受講できる。各種講座を受講できるだけでなく、専門知識を持つユーザーは、自らが講師として登録して収入を得ることも可能だ。

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ライフイズテック

中高生向けプログラミング教育事業を展開。最近では、ウォルト・ディズニー・ジャパンとライセンス契約を結び、ディズニーの世界を楽しみながらプログラミングを学べる「テクノロジア魔法学校」を発表した。言語はJavaScript、HTML、CSS、Processing、Shaderなどに対応していて、メディアアート、ゲーム制作、Webデザインなどのカテゴリーを総合的に学ぶことが可能だ。

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次回は、EdTechスタートアップの1つであるatama plusに、EdTechの最新動向や同社に転職したスタッフの声などを取材する予定だ。

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