独自の信用スコアとコード決済で中小建設業の悩みを解消するローカルワークス

建設業界に革命を起こすConTechスタートアップまとめ(4)

ローカルワークスは、アナログな建設業界をテクノロジーで進化させ、ひいては受発注の効率化、労働環境の改善を目指す2014年2月設立のスタートアップ。現在、建設事業者同士のマッチングサービス「ローカルワークスサーチ」、施工業者向けの決済代行サービス「ローカルワークスペイメント」、リフォーム・修理事業者の価格比較サービス「リフォマ」などのサービスを手がける。

【連載】建設業界に革命を起こすConTechスタートアップまとめ

ローカルワークスサーチは、サービスに登録した建設業者(建設現場)と業者(建設職人)をマッチングするB2Bサービス。業者のスキルや経験、保有資格などのデータ、取引や評価の情報を蓄積することで、初めて取引する業者であっても事前評価できるのが特徴だ。ConTech(建設テック)スタートアップが手がける一般的なサービスといえる。

建設業界では、同じ職種や同じ地域の信頼関係で結ばれているコミュニティから仕事を受注するケースが多く、営業活動をしない限りコミュニティ外から条件のいい仕事が舞い込むことは少ない。そして、一人親方か職人が数人の建設会社が多いので、営業活動に人材を割ける余裕がないのが実情だ。ローカルワークスサーチは、こういった受発注の問題を蓄積したデータとクラウドで解決する。

ローカルワークスペイメントは、建設業者に必要な商品や部材の決済代行サービス。現在、建設業界は売り手市場で報酬も高騰しているが、前述のように新規取引における受発注の問題があり、安定した収入源を確保することが難しい。これが一因で、クレジットカードなどの与信枠が少額に抑えられてしまう建設業者も多い。ローカルワークスはこういった問題を、ローカルワークスサーチで蓄積された業者の取引実績や施工評価のデータをから算出した独自の信用スコア(与信情報)を利用して、少額の手数料で最大与信枠1000万円の融資を実現する。

具体的には、ホームセンターなどでのQRコードによるスマホ決済を導入。建設業者はローカスワークスペイメントによって付与された与信枠の中で商品や部材を購入できるようになる。そして後日、手数料を付与された状態でローカスワークスペイメントから代金を一括請求されるという流れだ。ホームセンターは、ローカスワークスペイメントから提供されたQR決済システムを利用することで、入金や売掛金の保証が受けられる。

リフォマは、B2Cのマッチングサービス。一般ユーザーが、自宅リフォームなどの際に目的にあった施工店や業者を検索・発注できる。同社によると、現在累計利用者90万人を突破しているとのこと。建設業界では前述のように職種が多岐に渡るため、こういったC向けの仕事であっても消費者がリフォーム作業に適した業者にたどり着けないと元請けと下請けの構造が発生してしまい、中間マージンが工事代金に上乗せされることもある。

リフォマには、ローカスワークスサーチと同様に取引実績は施工評価などの蓄積されたデータがあるので、目的に合った信頼できる業者をピンポイントで探せるわけだ。

そして現在同社が注力しているのが、ローカスワークスファイナンスと呼ばれるサービスだ。これは建設事業者間の決済代行や回収保証などを行うサービス。建設業界は職種が70種類以上と多く、ほとんどの建設現場は多数の下請け業者が存在する。下請けの階層も2次から3次、4次までと深い。例えば、マンションを一棟建てる場合に必要な建設業者は40業種以上で、200社以上になることもある。

そして下請け業者の多くは、一人親方や従業員が数人の小規模の建設会社。このような請け負い構造のため、元請けから2次の下請け業者に工事代金が支払われたとしても、末端の下請け業者が期日までに満額の工事代金を手にできないケースもある。工事代金の支払い遅延を解消するためのファクタリング(代金代行回収)サービスもあるのだが、他業種に比べて回収リスクが高いこともあり工事代金の20~30%を手数料で取られるのが一般的だ。

ローカスワークスファイナンスは、既存サービスで蓄積された業者の取引実績や施工評価のデータをから算出した独自の信用スコア(与信情報)を利用して、5~10%程度の手数料のファクタリングサービスを実現する。売掛金の回収にかかる日数も通常100日のところを最短5日に短縮する。さらにファクタリングに必要な書類の手配や郵送、面談などの雑務をすべてオンラインで完結させる。

ローカルワークスの代表取締役を務める清水勇介氏は「2020年の東京五輪後は新規の着工は減少すると考えられるが、修繕やリフォームの需要が高まり、建設業界の市場は縮小しない」と語る。さらに「建設業界は国内では自動車産業に次ぐ市場であり、世界的に見てもGDPの10%程度を建設業界が占めるというデータもある」と続ける。

清水氏は、米国オレゴン州立大学卒業後に数社のスタートアップで新規事業開発などに従事。その後、建設系スタートアップであるグリーンイノベーションホールディングスの取締役副社長を経て、ローカルワークスを設立した人物。

「建設業界では、業者の85%は一人親方や従業員数人の零細企業です。そして2次請け以降が95%。各社とも資金力が乏しいという問題があります」と清水氏。「これから需要が逼迫すると見られる修繕やリフォームを請け負う会社も大手を除くとほとんどが数人でやっているので、スケールメリットを出せないのが実情です」と語る。

「公共事業などは数社しかいないスーパーゼネコンが元請けとなって、2次、3次と下請けに仕事が回る仕組みです。国や地方公共団体の仕事であれば、工事代金の回収などは国などが後ろ盾になっているので心配はないのですが、一般のマンション建設の場合は施工主や元請けが大手建設会社であっても、工事代金回収のリスクは常につきまとう」とのこと。

「1970年代の高度経済成長期に公共工事の受注で大企業化したスーパーゼネコンは、今後減ることはあっても増える確率は低いと思います」と清水氏。「これからも地域ごとに小中の建設業者が点在する状態は続くので、そういった業者の仕事の受発注や工事代金の回収リスクをテクノロジーで効率化したい」と語る。

ローカスワークスサーチやリフォマで蓄積されたデータにより独自の信用スコアを算出して、低い手数料でのファクタリングを実現する同社の取り組みは、PayPayやLINE Pay、メルペイなどのコード決済各社が目指すゴールの1つでもある、独自経済圏の構築と信用スコアに基づいた少額融資のシステムと似た部分もある。職人側としては、自分たちの実績が受発注や与信情報に好影響を与えるという仕組みが回り始まれば、新たなチャレンジに動き出しやすくなるだろう。

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